2021年4月7日 更新

【京都発酵】比叡山修験者ゆかりの京漬物『雲母(きらら)漬』老舗「穂野出」

発酵で健康!京都発酵食品部です☆今回は左京区一乗寺にある京漬物老舗。難読地名『雲母(きらら)坂』を行き来する比叡山修験者ゆかりのお漬物。

難読地名『雲母(きらら)坂』を行き来する比叡山修験者ゆかり

 (203606)

左京区一乗寺。洛北の古刹が集中するエリア。東山連峰の裾野伝いに、詩仙堂、曼殊院、圓光寺、修学院離宮などそうそうたる観光名所がならぶ場所。さらに、背景には東山、そして霊峰比叡山もあり、山里に来たような牧歌的雰囲気も感じられる場所。

そんな一乗寺にある、元禄二年(1689)創業の京漬物の老舗。
 (203605)

入り口の傍らには、こんな茄子のオブジェが。

こちらの名物『雲母(きらら)漬』の主原料である、小茄子を象ったもの。そして、京都難読地名の一つに数えられる『雲母(きらら)坂』にもかかわりのあるお漬物が今回の主役。
 (203597)

店舗は古いお屋敷からなり、こちら南側にも入り口が。
 (203600)

 (203598)

屋敷前のお庭には、石碑があったり銅像があったり。
 (203599)

江戸時代・元禄(げんろく)年間、今で言う事務職員のような役割「雑掌(ざっしょう)」として公家の鷲尾家(わしおけ)に仕えた田辺家邸がこちらの建物。

当時、鷲尾家はこのあたりに家領を有し、その管理を田辺家が担っていました。そして、比叡山へ続く雲母坂が近くにあることから、田辺家がその番所を兼ねることもあったとか。

雲母坂は一乗寺から比叡山、山王院に通ずる坂道で、修行僧をはじめ宮中使者も行き来したことから『勅使坂』とも呼ばれ、そんな雲母坂の番所に茶店を設け、そこで振舞っていた味噌漬が『雲母漬』。
 (203602)

 (203601)

屋敷内は、当時の番所的風情を思わせるような、巨岩や休憩処が設けられていて、試食用に雲母漬が置いてありました。難所であった急峻な雲母坂の和労堂として、多くの人々が集い、その疲れを癒したのがこの雲母漬であったとか。
 (203603)

屋敷の奥に販売スペース。取り扱い商品も至ってシンプルで、雲母漬、しば漬、花胡瓜の3点。
 (203604)

で、こちらがそのきららづけ。ひらがな表記になっています。考えてみると、これカタカナ表記ならキラキラネーム風でもあります(笑)ま、余談はさておき。
 (203612)

こちらが購入した雲母漬170gタイプ860円。
 (203613)

中はこんなふうに真空パックになった状態。
 (203614)

その作り方としては、塩漬けした小茄子を京都独特の白味噌で漬けた、一子相伝の手づくり製法とか。一瞬ここだけ見るとタピオカミルクティー風にも見えるような、小茄子のおつけもの(笑)
 (203615)

主原料の小茄子は契約栽培の国産。小茄子自体夏の野菜というイメージですが。賞味期限は味噌漬ということで比較的長く、45日間。
 (203616)

ちょうど家の山椒の木に若葉と花が生えていたので、盛りつけにあしらってみました。
 (203617)

そして、実食。味噌とともにいただきます。

小さい頃、類似する小茄子の味噌漬を実家でも販売し、食べたことも記憶としてありますが、この雲母漬は白味噌がポイントに。封を開けた時から、そのいい香りがしていて、実際食べてみると、白味噌の美味しさが際立ちます。白味噌をベースに醤油、砂糖、水あめ、食酢、唐辛子などを混ぜ合わせた調味味噌を塩漬けの小茄子に和えたような、和え物的構造。それでも、味噌と小茄子の親和性よく、全体的にいいバランスの味わい。あと、白味噌に大豆感があり、それも美味しさのポイントに。木の芽もよく合います。
 (203618)

そして、日本酒のアテとして完全食ですこれ。ようやく、この美味しさをわかるような年齢になったというか(笑)これは酒盗的おつけもの。これを楽しみに雲母坂を越えた古の人々の気持ちがわかるような、そんな老舗の味です。

詳細情報

名称:穂野出
場所:京都市左京区一乗寺谷田町43
電話:075‐781‐5023
営業時間:9:00 ~ 17:00
定休日:無休
公式サイト:http://www.kiraraduke.net/
21 件

関連する記事 こんな記事も人気です♪

【京都発酵めぐり】京の台所・錦市場スグの名店☆冬の京漬物『千枚漬』の老舗「大藤」

【京都発酵めぐり】京の台所・錦市場スグの名店☆冬の京漬物『千枚漬』の老舗「大藤」

発酵で健康!京都発酵食品部です☆今回は中京区、京の台所として知られる錦市場スグの麩屋町通沿いにある京漬物の老舗。京都三大漬物の一つ、千枚漬をレポート。
京都発酵食品部 | 2,747 view
京漬物のしば漬の郷・大原の老舗漬物店!工場見学もできる☆「土井志ば漬け本舗」

京漬物のしば漬の郷・大原の老舗漬物店!工場見学もできる☆「土井志ば漬け本舗」

京漬物の代表格でもあるしば漬。そして、そのしば漬の郷といえば、赤紫蘇の産地でもある大原。明治創業の老舗「土井志ば漬け本舗」。本店へ行ってきました。
京都発酵食品部 | 6,680 view
【2024保存版】京都のお雑煮に必須の白味噌☆和菓子店御用達~洛中老舗まで【厳選5店】

【2024保存版】京都のお雑煮に必須の白味噌☆和菓子店御用達~洛中老舗まで【厳選5店】

発酵で健康!京都発酵食品部です☆今回は京都が誇るお雑煮に欠かせない白味噌の名店を集めました。全国的にも知られる有名老舗和菓子御用達店や洛中老舗まで。
京都発酵食品部 | 5,019 view
【京都発酵】皇室献上品になった名物『千枚漬』☆全国にも知られる老舗「京つけもの大安」

【京都発酵】皇室献上品になった名物『千枚漬』☆全国にも知られる老舗「京つけもの大安」

発酵で健康!京都発酵食品部です☆今回は左京区岡崎に本店のある京漬物老舗。看板商品である千枚漬は皇室献上品にもなり、期間限定で現在販売中。
京都発酵食品部 | 1,210 view
【京都発酵】老舗京漬物の変わり種『クリームチーズ西京味噌漬け』「本家こじま」

【京都発酵】老舗京漬物の変わり種『クリームチーズ西京味噌漬け』「本家こじま」

発酵で健康!京都発酵食品部です☆今回は上京区西陣エリアにある京漬物老舗。伝統的京漬物を中心に販売されている中、ちょっと変わり種の商品を見つけました。
京都発酵食品部 | 3,617 view

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

京都発酵食品部 京都発酵食品部