2019年11月28日 更新

京都秋の特別公開【浄住寺】~洛西の黄檗建築と紅葉の参道~

洛西エリアの穴場スポット【浄住寺】、美しい紅葉の参道は必見です。

美しい浄住寺の参道風景とその歴史

嵐山や松尾大社の南部に位置する「浄住寺」。近年まで建物の中は公開されることがほとんど無かった寺院ですが、実は見所や寺宝が非常に多く、嵐山などと比べれば穴場感も味わうことができます。また、参道の美しさは非常に見事なもので、名だたる寺社の紅葉名所にも決して引けを取りません。紅葉だけでなく竹林や茶の木、南天といった植物もあってそれぞれに引き立てあい、美しい光景を織り成します。

通常は非公開となっている本堂内や方丈内も見所が盛りだくさん!

開催期間は2019年11月23日(土祝)~12月8日(日)です。
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浄住寺は嵯峨天皇の勅願寺として平安時代に慈覚大師円仁によって開創されたと伝わります。さらに弘長年間(1261~1263)、藤原氏の流れを汲む葉室定嗣卿により奈良の西大寺の叡尊上人を請じて再建されましたが、南北朝時代以後度重なる兵火に巻き込まれ、元禄2年(1689) 黄檗宗の隠元禅師の孫弟子に当たる鉄牛禅師を中興開山として再興。以後黄檗宗寺院となりました。
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浄住寺は阪急上桂駅から緩やかな坂道を10分ほど歩いた場所。到着すれば参道入口からすでに目を奪われるほどの美しい紅葉が待っています。
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浄住寺は紅葉が美しいだけでなく、竹林の多い西山エリアの寺院だけあって参道の左右それぞれに美しい竹林もあり、紅葉とのコラボレーションも必見。
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珍しい四方竹や亀甲竹などもあって、写真の亀甲竹の竹林は本堂に向かって参道左側にあります。竹林は憧れるけど、嵐山の竹林は観光客が多く写真を撮るのも困難だしな、と躊躇してしまう方にも穴場感のある浄住寺への拝観はぜひお勧めしたいです。徒歩すぐのところに竹の寺と呼ばれる「地蔵院」もあるので、セットで訪れるのも良いでしょう。
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さらに、浄住寺は叡尊上人やお茶との縁も深い寺院。参道はじめ境内には多くのお茶の木が植えられ、9月から11月頃には小さな白い花を咲かせます。

浄住寺の再建に関わった叡尊上人といえば当時は貴重品であったお茶を民衆にも振る舞ったことで知られ、それに由来してはじまったとされる西大寺の「大茶盛」という行事でも知られています。

本堂の見所と特徴

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ゆるやかに続く参道石段を上って行くと、正面には通常、内部に入ることのできない本堂があり、ガイドによる案内があります。また、堂内でも随時ガイドによる各仏像の特徴や浄住寺の歴史、見所などの話を聞くことができます。やはり自身で見て回るだけ、というより実際に目にしながら寺の歴史や仏像の説明などを聞けるのは理解が深まったり、鑑賞ポイントが一味違ってきます。
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本堂中央に安置されるご本尊は中国風の衣をまとった釈迦牟尼仏坐像。

本堂内は黄檗宗寺院の特徴でもある土間式となっている為、靴を履いたまま入堂し、ガイドによる案内を聞くことができます。
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2018年本尊は美しく修復がなされ、優しくおおらかなその表情は今後末永く訪れた人々の心を癒していくことでしょう。

また、修復の際には光背全面に南無阿弥陀仏と書かれた小さな内紙が貼られていたのが発見されました。黄檗宗が伝来した当初はさかんに阿弥陀経が読まれていたことを示す貴重なもので、もとの光背とともに特別公開期間中は本堂北側の方丈で展示されています。
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画像は左から達磨大師像、浄住寺古伽藍本尊、右は修復後今年はじめて公開される出山釈迦像で、それぞれ本堂ご本尊の左背後に安置されています。
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一方こちらは左から浄住寺の律宗時代の尊像と伝わる阿弥陀如来立像、伽藍菩薩像、葉室頼隆卿の像。それぞれご本尊の右背後に安置されています。

中央の伽藍菩薩像の眉間の部分には良く見ると第三の目といわれる心眼を確認することができます。
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ご本尊の真後ろに回りこむと、葉室家代々の位牌が安置されている位牌堂を見ることができ、この位牌堂の奥にはさらに開山堂、寿塔が並ぶという伽藍配置となっています。開山堂と寿塔は内部非公開ですが、方丈から池庭越しに外観を見ることができます。

方丈内の見所と方丈南庭

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本堂の拝観の後はやはり普段は内部非公開となっている方丈の拝観もできます。本堂とはちがい、こちらは靴を脱いで上ります。
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浄住寺の方丈は仙台藩4代藩主・伊達綱村が幼少期をすごした屋敷が寄進されたものとされています。仙台藩といえば伊達騒動として知られる御家騒動が有名ですが、幼い綱村が命を狙われる心配があったためか、この方丈には武者隠しがあり、床の間の壁に空けられた穴から抜け出せる仕掛けが残されています。
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こちらは方丈内で公開されている狩野派の絵師・狩野永岳筆の衝立「雲龍図」。配色とどこかユーモラスな表情、異空間から顔をのぞかせた瞬間を思わせるような構図など、非常に見事な作品です。
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方丈からはその南側に面する美しい池庭「方丈南庭」を目にすることができます。
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池に架けられた石橋を渡った先にはお釈迦様の歯を表すといわれる石が配され、これは他の寺院ではではなかなか見られない浄住寺ならではの見所の1つ。

浄住寺には、お釈迦様の入滅時に捷疾鬼によって奪われ、韋駄天によって取り戻されたお釈迦様の歯が安置されているという話が伝わっています。その後お釈迦様の歯は律宗の祖である中国の道宣禅師を経て日本へ渡り、嵯峨天皇のもとに届いて浄住寺に伝わったとされ、その歯は鉄牛禅師の舎利とともに寿塔内の石窟に納められているとされています。
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方丈からは池を挟み対岸にある本堂、位牌堂、開山堂、寿塔が右手に行くにつれ京都・西山の稜線に沿って高くなる土地に、東西直線状に並んでいるのを見ることもできます。
方丈からは池を挟み対岸にある本堂、位牌堂、開山堂、寿塔が右手に行くにつれ京都・西山の稜線に沿って高くなる土地に、東西直線状に並んでいるのを見ることもできます。

その他オススメあれこれ

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近年若い世代にも広く人気を博している「御朱印」。浄住寺でも特別拝観期間中は方丈内でいただくことができます(300円)。また、雲龍図と寺名の入った趣きのあるオリジナルの御朱印帳一種(写真は御朱印とともに御朱印帳の表裏をうつしたもの。一冊2,000円)もあり、渋い魅力を放っています。
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また、同期間中は「かふぇ寺@浄住寺」として本堂と方丈を結ぶ回廊部分にて、本格的な味が楽しめるカフェ席(営業時間:10:00~16:00)も登場。

もちもちの食感が絶妙なみたらしだんごや茶筅で点てる抹茶ラテ、ぜんざいなどがいただけ、お寺の紅葉を見ながら暖かく美味しいものでホッと一息つくという至福の時間が楽しめます。
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秋の紅葉ピーク時の人手で賑わう嵐山と比べれば、少し南部にある浄住寺周辺はゆったりと紅葉を楽しむことができる点も大きな魅力。帰り道は上桂駅へ向かうと東山や京都の町並みが見渡せる箇所もあり、上桂駅自体も桜並木の紅葉が楽しめます。
撮影は公開初日にさせていただきましたが、紅葉は見頃を迎えた木もあれば、まだまだ楽しめそうな緑の葉も。近隣のファンが多いのも特徴で、公開初日から楽しみにしていた方々が多く足を運ばれていていました。
また、黄檗宗といえば精進料理の中華版ともいえる普茶料理など独自の食文化も伝わっていますが、12月1日(日)には方丈内にて煎茶道黄檗売茶流のお茶会も開催されます。お菓子付き1,000円で予約は不要なので、ぜひご参加下さい。(拝観料要)

浄住寺を含む京都の紅葉の名所約70ヶ所の色づき状況を知りたい方は京都観光Navi紅葉だよりページへ!

※堂内、仏様など特別に撮影許可をいただき撮影しています。ただし、方丈からお庭を撮影することはできます。

基本情報

秋の特別公開【浄住寺】
開催期間:2019年11月23日(土祝)~12月8日(日)
時間:9:00~16:30(16:00受付終了)
料金:大人600円
住所:京都市西京区山田開町9
アクセス:
・阪急電車「上桂」駅下車、徒歩約10分
【上桂駅へのアクセス:京都駅から地下鉄烏丸線「四条」駅(乗換)、阪急電車「桂」駅(乗換)/京阪電車「祇園四条」駅から徒歩約5分、阪急電車「京都河原町」駅から「桂」駅(乗換)】
・京都駅から京都バス73系統「苔寺・すず虫寺」下車、徒歩約5分
・京阪電車「三条」駅から京都バス63系統「苔寺・すず虫寺」下車、徒歩約5分
お問い合わせ:京都市観光協会 075-213-1717(10:00~18:00)
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