2019年3月20日 更新

門をくぐれば、そこは別世界 春が待ち遠しい「霊鑑寺」の特別公開【京都】

2019年 京都市観光協会 春の特別公開 霊鑑寺の魅力を、観光協会担当者の目線でお伝えします!

普段は非公開、春の特別公開

霊鑑寺 椿①

霊鑑寺 椿①

トンネルや扉を抜けると、不思議の国や異次元に迷い込むといった話はよくありますが、正に、その感覚を現実に体験できるお寺があります。普段は非公開ですが、この春に特別に公開される京都の霊鑑寺です。歴史に裏付けされた格式高いお寺であることの説明は、後ほどさせていただくとして、まずはその見どころをお伝えしたいと思います。
霊鑑寺 門前

霊鑑寺 門前

哲学の道から少し東山の方へすすむと、閑静な住宅が立ち並ぶその先に、霊鑑寺の門が見えてきます。両側の緑と門の奥に見える東山の稜線と空に囲まれて、まるでその景色に溶け込むかのような上品な佇まいです。大きくて迫力のある山門に驚かされるお寺も少なくありませんが、霊鑑寺の門はより高貴な雰囲気を漂わせているかのように感じます。
真っ白な石畳

真っ白な石畳

そして、門をくぐって境内に進むと、真っ白な石畳に苔むした八重紅梅の大きな幹が、梅の花をたくさんまとって出迎えてくれます。更に、庭へすすむと、ここからが正に別世界です。
八重紅梅

八重紅梅

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すぐに目に映るのは、様々な苔が織りなす黄緑色のグラデーション。そして、その中に赤や白やピンクなどの色鮮やかな絵の具をぽたぽたと落としたかのような椿、椿、椿。枝葉の中で咲き誇るものもあれば、緑の苔の絨毯の上にそっと誰かが置いたようなものまで。
そして、この鮮やかな庭は、更に奥まで、進んでいくことができます。どこかの森に迷い込んだのではないかと錯覚するほどの緑の中で、本堂や石灯籠などが、唯一、自分を現実の世界につなぎとめてくれる。
このつながりを失うと、迷うことなく、ふかふかの緑の絨毯に、時間を忘れて身体をあずけてしまいそうな気分になっていることでしょう。
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お寺の庭というと、シンプルな砂と石と少量の緑によって、時間を閉じ込めたようなものをイメージしていた私にとって、地形を活かしながら、丁寧に手をかけられ、青々とした庭には驚くばかりです。しかも、お寺の外観と同様に、その庭はどこを切り取っても上品で絵になる美しさがあります。そして、春だけではなく、この緑の苔のキャンバスに、秋には真っ赤な紅葉と空の青が配色されると思うと、その興奮と期待に胸が躍ります。
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書院 襖絵

書院 襖絵

何故このお寺には、こんなにも上品な緑と、人を飽きさせない魅力があるのでしょうか。

そう、ここは尼門跡寺院であり、歴代住職をつとめた皇女が生活をしており、正に、皇室の生活がそのまま集約されているからなのです。
皇室所縁のお寺や門跡寺院はここ京都にも少なくありませんが、皇女というフレーズにその答えがありました。
ここ霊鑑寺の初代の多利宮(後水尾天皇の皇女)をはじめ、歴代の皇女は幼い時にやってきたそうです。当然、寂しさもあったでしょう、その寂しさを紛らわすためと思われる御所人形やカルタなども、お寺にはたくさんありますし、その部屋の設えや障壁画はとても豪華なものになっています。

そして何より、この庭の緑とお花は、小さな皇女にとっても楽しみのひとつだったのではないかと思われます。
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小さな女の子の目線で見るとこのお寺のすべてに納得ができる気がします。更に、建物や部屋の設えなどを通して、その当時の皇女の暮らしぶりまでが目の前によみがえってくる気もします。
この感覚は、椿や苔を自然の景色の中でみても、同じような絢爛豪華な文化財を博物館や美術館の中でみても、感じることのできない感動に違いありません。
これこそが、実際にお寺に足を運び、その場にあるべきものを体感できる特別公開の魅力ではないでしょうか。

基本情報

名称:霊鑑寺
住所:京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町
特別公開期間:2019年3月21日(木・祝)〜4月7月(日)
拝観時間:10:00~16:30(16:00受付終了)
拝観料:大人600円/小学生300円
※15名以上の団体は1割引(大人540円/小学生270円)
アクセス:
京都駅から市バス5系統「真如堂前」下車徒歩約5分、
もしくは市バス100系統「宮ノ前町」下車徒歩約5分

※法要等により拝観できない日や時間等が生じる場合があります。
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公益社団法人 京都市観光協会 公益社団法人 京都市観光協会