2018年10月27日 更新

京都の細見美術館にて「春画展妖怪画」とのタッグで旋風ふたたび?

2016年に京都で開催するや8万人もの観客を動員し、会場となった細見美術館の動員記録を塗り替えた春画展。その細見美術館での春画展が2018年に超パワーアップ! 春画と妖怪画という一見相反するテーマをタッグ展示することで、通常の美術展では見えてこない大衆文化のすみずみまで知ることができる展示となっています。 ※なお今展示では展示内容を考慮し、18歳未満の方は入館不可となっています。

細見美術館と日文研

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今回紹介する春画展が開催されているのは細見美術館。疎水が流れ平安神宮から歩いてすぐ。京都でも風光明媚な岡崎にあるオシャレな美術館。

細見美術館では2016年にも春画展を開催。賛否が予想された展示内容もフタを開けてみれば大盛況。結果的には細見美術館の観客動員数を大幅に更新する8万人もの観客を動員、大きな話題となりました。
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そんな細見美術館の春画展が2018年に超パワーアップ!「日文研コレクション 描かれた「わらい」と「こわい」展 ─ 春画・妖怪画の世界 ─」というエキサイティングな展示名となり、早くも注目を集め、多くの観客が訪れています。

今回の展示会に作品を提供するのは日文研という研究機関。正式名称は「国際日本文化研究センター」で、大学共同利用の文化研究機関となっています。

日文研では日本文化の研究の側面からさまざまな日本画を収集。所長であり民間信仰や妖怪研究の権威である小松和彦氏が妖怪画、名誉教授であり浮世絵や春画の研究者である早川聞多氏が春画を担当。普段は研究のために作品を所蔵している日文研ですが、細見美術館の展示ノウハウを得て一般公開されています。
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日文研から提供された作品の中には、春画や妖怪画を代表する有名な作品も多数含まれるので見逃しは厳禁!

特に有名なのが「蛸と海女(たことあま)」という作品。ネットなどで日本人の性癖の特殊性などを語る時に「日本人は150年以上も前から…」と引き合いに出され、一度は目にした人も多いのではないでしょうか?

春画展と妖怪画展を一つにする意図

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春画と妖怪画。「わらい」と「こわい」は、一見遠い存在のように思えます。しかし、妖怪画の中に春画的要素があったり、春画の世界にもファンタジー要素が入っていたりボーダーラインは曖昧で、実は意外と近い存在となっています。

先ほどの蛸と海女の巨大蛸は、言葉を喋り妖怪じみていて妖怪画とも春画ともよべる作品で展覧会のコンセプトそのもの。

ファンタジー要素の強い春画と言えば豆男シリーズが顕著。今回の展示で世界初公開となる磯田湖竜斎の「俳諧女夫まねへもん」では、仙薬を飲んで豆粒ほどに小さくなった男が、さまざまな場所で日夜行われている性の営みを隠れながら見て勉強。色道修行に励むというテーマの浮世絵となっています。
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絵画は美しい花鳥風月以外に、時の権力者に歌舞伎役者の肖像画など時代を写す文化的資料でとしての側面もあり、光と影で言えば光の部分が多く描かれています。

しかし豆男が色道修行に励んでいる場所は、庶民の家や遊郭など、影の場面も多いリアルで大衆的な世界。春画や妖怪画を通すことで初めて見える大衆文化もあり、当時の庶民的な暮らしを知る生きた資料と言えます。
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また展示会には春画や妖怪画という枠を超える有名浮世絵師の作品も展示。すでに紹介している「蛸と海女」の作者はなんと『冨嶽三十六景』や『北斎漫画』で有名な葛飾北斎。

「風流座敷八景」の作者は、美人画の第一人者の鈴木春信。有名浮世絵師による作品は、春画がもっと大らかで今より生活に近い位置にあったことを証明しています。

くらしの中に溶け込む春画と妖怪画

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庶民の暮らしをリアルに写す春画と妖怪画ですが、社会情勢や実際に起こった事件などを世間に伝えるツールとしても利用されています。

「諸病諸薬の戦い」では病気と薬が擬人化され合戦を繰り広げ、病気の蔓延と治療の様子を表現。春画や妖怪画が描かれた前近代は、目に見えない妖怪ももっと近い存在でした。
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社会情勢を表すニュースの挿絵などに利用されている妖怪画ですが、ほかにも各地に残る怪異譚や伝承、討伐される対象として描かれています。

特に迫力のある作品が歌川芳艶による「大江山酒呑退治」。強力な鬼の統領である酒呑童子が成敗されるようすは迫力満点。
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他にも国生み神話や天岩戸伝説、朝廷に従わない豪族を表す土蜘蛛、四谷怪談、安珍清姫伝説など、さまざま説話や伝説が妖怪画とも春画とも解釈可能なタッチで描かれています。中でも落語の演目にもなっている牡丹灯籠は強烈。

美しい女性の幽霊との間に恋に落ち、最終的にドクロと性交している男が描かれています。

ゆるキャラと超絶技巧

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神話や伝承などが描かれた妖怪画は、大人向けの浮世絵だけでなく子どもが遊ぶおもちゃにも多く登場。ポケットモンスターや妖怪ウォッチなど、怪異を扱った作品は今でも子どに大人気。

しかしすでに江戸時代には妖怪双六や妖怪図鑑、かるたなどが存在し、長く伝統が続いていることが分かります。しかも妖怪の中には男性器をかたどった妖怪も登場。こんな場面でも妖怪画と春画の距離の近さを物語ってます。
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さらに妖怪画は商品キャラクターにも採用、虫下しの薬には「腹の虫」がユーモラスな造形で描かれています。既存の妖怪がとんでもなくユルい造形で描かれた作品も展示されており、現在の感覚で言えばまさにゆるキャラ。

また春画には、性の営みを行っている男女それぞれの顔と性器が入れ替わっているキャラも登場。あくまで普通の人間の男女でありながら妖怪テイストで独特のユーモラスさを持っています。
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けいたろう けいたろう