2025年5月16日 更新

京都東の玄関口『粟田神社』の新緑と刀剣御朱印

京の七口の1つ・粟田口に位置する粟田神社では、参道から境内にかけて新緑が美しい季節となりました。今回は、デザインが変更された鍛冶神社の御朱印をいただくために参拝した粟田神社の静かな境内の様子を紹介します。

八坂神社とゆかりの深い粟田神社

東山区の粟田神社が創建されたのは、平安時代初めの貞観18年(876)のことです。
この年の春、世が乱れて疫病がはやるとの天皇への奏上を受け、藤原興世(おきよ)が今の八坂神社である感神院祇園社にて、七日七晩の祈願をしました。
そして満願の夜に現れた翁=大己貴命(おおなむちのみこと)のお告げにより建立されたお社が粟田神社です。
粟田神社本殿

粟田神社本殿

via 藤花
粟田神社の御祭神は、八坂神社と同じく大己貴命と牛頭天王(ごずてんのう)=素戔嗚尊(すさのおのみこと)だったことから、当初は感神院新宮(かんじんいんしんぐう)や粟田天王社と呼ばれ、祇園祭が斎行できない時には、粟田神社のお祭りである粟田祭がその代わりを務めました。
粟田祭の神幸祭で巡行する大きな剣鉾は、祇園祭の山鉾の原形と言われています。

新緑が美しい参道から粟田神社の境内へ

粟田神社二の鳥居

粟田神社二の鳥居

via 藤花
粟田神社の一の鳥居は三条通に面しており、一般住宅に挟まれた参道を進むと「感神院新宮」の扁額が掲げられた二の鳥居が見えてきます。
二の鳥居の扁額

二の鳥居の扁額

via 藤花
新緑が美しい参道を上がると境内へと至りますが、その前に二の鳥居をくぐってすぐ左へ行きましょう。
そこには鍛冶神社があります。
鍛冶神社

鍛冶神社

via 藤花
粟田口周辺は平安・鎌倉時代から刀工が多く住む場所で、粟田口藤四郎吉光や三条小鍛冶宗近などの名刀工が輩出しています。
鍛冶神社は、粟田口吉光と三条宗近、それに天目一箇神(あめのまひとつのかみ=鍛冶の祖神)が御祭神で刀剣ファンの聖地となっている神社です。
藤花 (285569)

via 藤花
駐車場の片隅にある神社なのですが、どことなく神聖な空気が漂う不思議な空間。
お社の側には、刀身がデザインされた絵馬がたくさん奉納され、境内奥には明治天皇御製の歌碑もありました。
藤花 (285568)

via 藤花
参道へ戻り、緩やかな石段を登っていくと、右手に神馬が鎮座されています。
今にも走り出しそうに前足を上げている勇壮な姿に木漏れ日がキラキラと差し込んでいました。
藤花 (285570)

via 藤花

見晴らしの良い境内で深呼吸!

高台に位置する粟田神社境内からは、京都市街が一望できます。
とりわけ気分が良いのは、平安神宮の大鳥居が同じ高さで結構間近に見えることです。
いつも見上げている大鳥居の上の部分がよく見えて、テンションが上がります!
藤花 (285571)

via 藤花
大鳥居を望みながら深呼吸をした後は、本殿へお参りです。
入母屋造りに檜皮葺の趣ある拝殿の奥に唐破風屋根の本殿。
その姿に、長い歴史を物語るどっしりとした風格を感じました。
粟田神社拝殿

粟田神社拝殿

via 藤花
本殿を囲むように摂社末社が並んでいましたので、左回りにお参りしました。
聖天社、天満宮と多賀社、青蓮院の鎮護神であった大神宮、そして出世恵比寿神社。
出世恵比寿神社

出世恵比寿神社

via 藤花
出世恵比寿神社は、もともとは粟田神社よりも東の蹴上夷谷という場所にお祀りされていたそうです。
源義経が陸奥平泉へ下向する際、源氏再興の祈願をしてその願いが叶ったことから、出世恵比寿神社と呼ばれるようになったと伝わっています。
御神体の恵比須様は最澄が作った日本最古の像とされています。
本殿の裏手へ回ると土地の守り神であった吉兵衛神社、本殿右手に太郎兵衛神社、北向稲荷神社と並びます。
北向稲荷神社

北向稲荷神社

via 藤花
北向稲荷神社の御祭神・雪丸稲荷は三条小鍛冶宗近が一条天皇の命で刀を打つ際に相槌を務めた稲荷神であると伝わっています。
宗近はその剣に「小狐丸」と名付けたそうですが、実は相槌を務めた稲荷神がお祀りされている神社がもう1つ粟田神社の近くにあります。
その神社については後ほど紹介しますね。

一見の価値あり!宝物殿

舞殿と宝物殿

舞殿と宝物殿

via 藤花
再び本殿前に戻り、社務所でお目当ての御朱印をいただいた後は、宝物殿へ。
藤花 (285577)

via 藤花
粟田神社の宝物殿は無料で入ることができます。
広さはあまりありませんが、粟田祭の剣鉾や見送り、刀剣などが展示されていて見ごたえ十分です。
この時は、春季特別展「広瀬花隠の桜 第2回」が開催中で、桜が描かれた掛け軸などがたくさん展示されていて春満開の館内でした。

小さくても見逃し厳禁!合槌稲荷神社

合槌稲荷神社の鳥居

合槌稲荷神社の鳥居

via 藤花
合槌稲荷神社は、粟田神社を出て三条通を渡った先にあります。
住宅と住宅に挟まれた参道の奥を左に折れると、家の軒先をお邪魔するような狭い参道。
その奥に可愛らしい祠が鎮座しています。
合槌稲荷神社

合槌稲荷神社

via 藤花
合槌稲荷神社の稲荷神には、前述の北向稲荷神社と同じ伝説が残っています。
一条天皇の命を受けた三条小鍛冶宗近が、氏神の稲荷社に祈願をすると、その後1人の童子がやってきて相槌を務めます。
無事名刀が打ちあがった後、その童子が稲荷神だと知った宗近は、刀に「小狐丸」という銘を刻んだと言います。
この伝説は室町時代の謡曲「小鍛冶」に伝わるもので、「小狐丸」と呼ばれる刀剣は複数存在するそうです。

刀剣がデザインされたクールな御朱印

藤花 (285580)

via 藤花
今回いただいたのは、「三日月」と「合槌稲荷大明神」の御朱印。
どちらも刀剣がデザインされた格好良いものでした。
藤花 (285581)

via 藤花
現在、粟田神社・藤森神社・豊国神社・建勲神社の4社では「京都刀剣めぐり」の特別御朱印も授与中です。
私は以前開催された際にいただいていたので、今回はパスしたのですが…。
今回は4社コンプリート後の特製扇がとっても素敵で、実はもう一度集めようと目論んでいます。

粟田神社の基本情報

・住所  京都市東山区粟田口鍛冶町1
・電話  075-551-3154
・境内自由
アクセス
・最寄り駅 地下鉄「蹴上」「東山」徒歩約7分
・バス 「神宮道」徒歩約5分
・HP https://awatajinja.jp/
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