2024年8月12日 更新

京扇子屋の女将とサシ飲み!「京都の女将」ってホントにイケズっぽいのか確かめてきた

京都の老舗、その女将さん。「イマどきの女将さんって、どんなんなんやろ」。とある女将に話を聞いてきました。

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おかん「出た!京都の『仕出し文化』だ!」

大西さん「それは京都に長く住んでいる家庭だとよくあるかもしれません。家ごとに仕出しが決まっていて、お客さんが来るときにはそこに料理を頼むんですよ。でも私は、今日みたいに手づくりのものを持ち寄るアットホームな集まりの方が好きですけどね」

大西さん「あとは月命日はお坊さんが読経しにきてくれて、みんなでお仏壇を拝むんです。お正月は親戚一同で。古臭いかもしれませんが、女の人は下座に座るなどのしきたりがあるので、そういう部分は『老舗っぽさ』があるのかもですね」

おかん「暦のイベントを大切にするのは独自性がありますね〜。あと、お行儀も厳しそう」

大西さん「立ち振る舞いは厳しめにしつけられるかもしれません」

おかん「さっきスマホで遊んでた息子さんに『正座して!』って言ってましたもんね」
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大西さん「まあ、あれはYouTubeを見てたんですけど」

おかん「正座だったらスマホでYouTube見てもいいんだ
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話しながら、古くから家に残る書物も見せてもらいました。しれっとこういうのが出てくるのはさすが。

跡取りとしてどう暖簾を守っていくか

おかん「真面目な話もしましょう(笑)。扇子って、現代のライフスタイルのなかで、冷房の主戦力でいるのは難しいモノじゃないですか。跡取りとして、女将として将来をどう見据えてますか?」

大西さん「扇子って100均でも売ってるので、今更『100均じゃなくて扇子屋の扇子を買おうよ』と意識を変えるのはおいそれとできないと思うんです。じゃあ、専門店は100均とどう違うのか、なぜそれなりの値段がするのかを可視化する必要があるのかな、と」
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おかん「可視化ですか」

大西さん「もともとうちのお店は『もっとい屋』と呼ばれる、日本髪を結う際に使われる紙でできた紐を売る商売をしていたんですよ。西洋化が進んでそれを廃したあと、『紙を使った商品を』ということで扇子屋をはじめました。そういう、お店ならでは『ストーリー』を、お客様たちに伝えられるような発信をしていきたいと思っているんです」

おかん「なるほど〜。専門店の扇子は職人さんの手間暇もかかってますもんね」

大西さん「そうなんです。扇子は完全分業制でつくられているので、90近い工程を13〜15人の職人さんで分担してできている。つまりひとつの扇子のなかに数多くの職人さんの手が入っているんですよね。だから5、6年は長持ちしますし、メンテナンスも請け負います。ただ高いだけじゃないんですよ!」

おかん「それを思えば、お値段がするのも納得だなあ」
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大西さん「ストーリーを聞けば、金額に見合う価値を理解してくれる。たとえばクラウドファンディングなどが例ですよね。そういうサービスを利用するのもひとつの手かもしれないなと思います。老舗…といえば聞こえはいいですけど、長く続いてきたものを未来に守るには、やっぱり変わり続けないといけないので

おかん「かっこいい…。お酒が入ると饒舌になるんでしょうか。だってもう持って来た4合瓶がなくなったので、大西さんの自前のお酒を飲んでるんですよ。ふたりで7合くらい飲んでる

大西さん「やばいな〜!どおりでフワフワしてきたと思った!!」
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半幅帯をぺたんこに締めたら、帯をつけたままでも寝れるんですよ!ほら!と寝転び出す大西さん。

おかん「おもむろに寝るな
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夕方からはじまったインタビューも、気づけばとっぷり夜になって双方ベロベロに。

ざっくばらんな会話の中で感じたのは「あれ、老舗の女将さんってカジュアルな人柄なんだな」ということ。

職人さんたちへの心遣いを持ち、「変わり続けることが老舗」と断言する。お店の将来ををしっかりと見据えたながらも、飲み会を制限されるほど飲兵衛で、笑顔が愛らしい女将・大西さん。

生まれ育ちや家のしきたり、今後の展望まで、いままで知られなかったリアルな「女将の生態」を少しだけ垣間見ることができたと感じました。

「あ、こういう人が女将さんだったら、ちょっとお店にも行ってみたいな」。そう思ったら、ぜひカジュアルに、大西常商店の暖簾をくぐってみてください。

店舗情報

店名:京扇子 大西常商店
住所:京都市下京区本燈籠町23
電話番号:075-351-1156
関連ページ:http://www.ohnishitune.com/
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