2020年2月18日更新

【京都お弁当めぐり】南座歌舞伎のお供『幕間弁当』ならココ！祇園の老舗仕出し☆京料理「菱岩」

おおきに～豆はなどす☆今回は東山区祇園にある京料理の老舗。京都の食文化でもある『仕出し』専門店。京都南座歌舞伎の幕間にお弁当をいただきました。

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京都独特の食文化『仕出し』専門の老舗

東山区、祇園にある古い京町家が並ぶ新門前通りの一角。一見、お店なのかお宅なのかも、地元民でなければわからないような、そんな店構え。

小さな看板と暖簾から、京料理のお店であることが辛うじてわかる程度のひっそりとした佇まい。
実は超有名な1830（天保元）年創業の老舗。京料理のお店には変わりありませんが、こちらは『仕出し』専門店。要は配達専門の料理屋さん。現代風に言い換えるとケイタリングみたいなもんですね。

京都では昔から、冠婚葬祭や来客を自宅に招く際、仕出し屋さんから出前を取る風習があります。さらに、ここ祇園界隈の花街においては、お茶屋さんで客に料理をふるまう際、仕出し屋さんから料理を注文し、宴で提供される習わし。

最近では住宅事情や核家族化の影響もあり、一般的に利用する家庭も減りましたが、親戚の法事やおめでたい行事を自宅で行う際には利用され、私自身今でも仕出し屋さんのお料理をいただく機会があります。もしかしたら、京都独特の食文化なのかもしれません。

さらにお店によっては、そんなに大掛かりなケースでもなく、ちょっとした単品料理の追加やお弁当などの注文、配達でも活用されたり。

この界隈でも、そんな細々とした注文がよくあるのか、お店の横にはネーム入りの自転車が数台並んでいました。これで配達するのか、ちょっと懐かしい風情が漂います。元祖・ウーバーイーツ（笑）

今回は、現在京都南座で公演中の歌舞伎『市川海老蔵特別公演』の舞台の合間の休憩時間、『幕間弁当』としていただこうと、あらかじめ電話で予約。南座の入り口まで、その時間に合わせて届けてくれます。

【京都南座歌舞伎】瞬殺完売の大人気☆團十郎襲名直前『市川海老蔵特別公演』へ行ってきました☆ - Kyotopi [キョウトピ] 京都がもっと”好き”になる。

関連記事になります。併せてご参照ください。

で、舞台が休憩に入り、南座入り口へ。
すると、お弁当を携えて、お店の方がこんな風に待っててくれます。ちょっと阪神タイガースの矢野監督似の男前さんだったんで、写真撮らせてもらいました（笑）

客席に戻り、30分の休憩時間を利用し、いただきます。
ロビーにも飲食できる休憩スペースがありますが、この時は満席だったので客席で。

お弁当は4段階あり、3150円～6000円台まで。今回は4350円のお弁当をチョイス。
まあ、お弁当で4350円てけっこう贅沢ではありますが、歌舞伎鑑賞で南座へ来ることも一年で数えるほど。景気づけに、と（笑）

そして、フタをオープン。
とても彩りのいい、上品に盛り込まれたお弁当。コンビニやそこらのお弁当とは風格が全然ちがいます（笑）

一つ一つ食べていきます。

まずは、菱岩さんといえばコレ！と言われる代表的メニューである出し巻き。よくテレビや雑誌でも紹介される絶品の出し巻き。まあ、こうして見てるだけでも、その手抜かりのない仕事ぶりがわかります。白身と黄身が完全に混ざり、色ムラなし。そして焼き目をつけず、均一に仕上げられた感。

で、一口。冷めても美味しい設計。出汁感かなり効いていて、だからといって角の立つ出汁感でもなく、いい具合に玉子の味を引き立てる、いい塩梅のやつ。柔らかい食感の玉子から染み出す出汁。ホロホロと口の中でなくなっていきます。

型抜きされたおにぎり。もち米も配合されているのか、もっちり。で、特筆はトッピングされた金胡麻。煎りたてなのか、とても香り高く上品な風味。噛みしめるごとに上質な胡麻の滋味深い味わい。

こういうところ、おせち料理と被ります。松風焼き。しっかりとした味わいでお酒のあてにもいい。

龍飛巻き。平目の味わい上品。

春らしい白魚の釜揚げ。

いい火入れながらしっかりと調味が行き届いた鴨ロース。噛むほどに鴨エキスがじんわり。

これも鴨肉だと思いますが、つくね。お酒が欲しいけど、肝心の舞台観劇で爆睡しそうなので（笑）

普段そんなに食すこと少ない、京野菜・堀川ごぼうの炊いたん。これもわりとしっかりとした味付け。お弁当にはこれくらいのしっかり味がいいんでしょうね。冷めても美味しいように。

キメこまかい海老芋。

上質肉厚の脂ののった鰆。幽庵焼き。んまい。

彩のシャキシャキ食感の菜の花。箸休めに。

これ、見た目地味ながら美味しかった！子持ち鮎の甘露煮。実山椒の風味が活きていて、いい炊きかげん。

おめでたい車海老。奇しくも海老蔵公演（笑）

で、最後に再び、出し巻きで〆。美味しさの余韻に浸りながら。

笹の葉の包み、てっきりお麩のまんじゅうかと思ってましたが、薄っすら木の芽も透ける鯛寿司。寿司飯はわりと軽めの酸味で笹の葉の風味がご飯に移って、爽やかな味わい。
市川海老蔵としては最後となる特別公演にふさわしい流石の老舗弁当。早春の食材がふんだんに盛り込まれた、京料理らしい季節感を演出した絶品のお弁当でした。

歌舞伎鑑賞自体、俗世を忘れる夢見心地な時間。その合間の食事も、こんな夢見心地気分を満喫できるお弁当であれば、なお最高。ぜひぜひご賞味あれ！

ヨ～イヤサ～♪