2022年8月21日 更新

【京都ツウ】知る人ぞ知る6つの『勝』☆平安時代に存在した幻の巨大寺院群「六勝寺」

汁物大好きな三杯目 J Soup Brothersです!FU~FU~☆彡今回は左京区岡崎にかつてあった知る人ぞ知る巨大寺院群。その史跡をぶらり散策。

文化ゾーンに平安時代存在した6つの『勝』

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左京区岡崎エリア。京都市内の文化ゾーンとして知られ、周辺には動物園や美術館、博物館などの施設が並ぶ。それらの施設の周囲には琵琶湖疏水が流れ、遊歩道も整備されています。

そんな遊歩道には『六勝寺のこみち』と石碑に刻まれています。以前にもこの界隈にあるお寺を散策中に出くわし、かつて平安時代後期から室町時代まで存在したと伝わる『六勝寺』。今回はそれがどんなものだったかを深掘りすべく、この辺りを散策しました。

『六勝寺』はかつてこの界隈に存在した名称に『勝』のつく6つのお寺の総称で、現在のロームシアター京都(京都会館)あたりを中心に東西1.2㎞、南北1㎞以上の広大な敷地に造営された巨大寺院群。平安時代後期、院政の中枢として栄華を極めた場所でしたが、室町時代には衰退し応仁の乱で廃絶。そして、この界隈を歩くと、その史跡に出会えます。
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疏水、京都みやこめっせ西側に立つ石碑に『延勝寺』とあります。一応かつては機能していた案内板もありますが、今となっては劣化し、その内容を読み取れないほど。
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他にもみやこめっせ北西角に同じ石碑があり、かつてこの場所には、久安5年(1149)に建てられた近衛天皇(1139~55)の御願寺『延勝寺』が存在し、東西二町、南北一町の規模だったと伝わります。
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そこからさらに北上し、武道センター前にあるマンションの一角。こちらには康和4年(1102)に供養された堀河天皇の御願寺『尊勝寺』があった場所で、この案内板からもわかるように、六勝寺の中では最も発掘調査が進み、その詳細が明記されています。
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さらにこちら、ロームシアター京都も尊勝寺の敷地だったようです。
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そして、ここにも六勝寺のことが詳しく書かれ、わかりやすく地図で色別するとこんな具合に6つのお寺がかつて存在したと伝わります。
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承暦元年(1077)に建てられ、左大臣藤原師実に寄進された白河天皇の御願寺『法勝寺』のあった場所で、六勝寺の筆頭寺院として最大の規模を誇り、南庭には高さ80mの巨大な八角九重塔があったことでも知られ、現在の京都市動物園の場所にあたります。

他、石碑は見当たりませんでしたが、創建は元永元年(1118)、鳥羽天皇の御願寺『最勝寺』。現在の岡崎グラウンド西側から京都会館までの規模の寺院。町名として残っています。

さらに、大治3年(1128)に建てられた、待賢門院(藤原璋子)の御願寺『円勝寺』六勝寺の中で唯一の女院御願寺。現在の京都市美術館に位置していたと推定。こちらも町名として残っています。


今ではそんな巨大寺院群があったとは思えないような景観ですが、石碑や地名だけがその存在を今に伝えています。かつての様子に思いをはせて、散策してみたいですね。

マップ

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