丸太町にたたずむ世界で評価されるフランス料理店
京都御所の南側、丸太町通から少し入った場所に店を構えるフレンチレストラン「Reine des prés(レーヌデプレ)」。2012年のオープン以来、ミシュランガイドやゴ・エ・ミヨでも長く評価を受けてきた実力店です。
街中にありながら、店の周辺は比較的落ち着いた雰囲気。大きく主張するような店構えではなく、知らなければ通り過ぎてしまいそうなほど静かな佇まいです。
街中にありながら、店の周辺は比較的落ち着いた雰囲気。大きく主張するような店構えではなく、知らなければ通り過ぎてしまいそうなほど静かな佇まいです。
店内もまた、華美な装飾を施した空間ではありません。わずか6席、席数を絞ったコンパクトな造りで、料理と向き合うための凛とした空気が流れます。
シェフと料理について話すなかで出てきたのが、「わびさび」という日本らしい言葉でした。
店を続けるなかでブレていないのは「食材の良さ」と「火入れ」。料理を華やかに見せるために何かを足すのではなく、いかにシンプルに食材のおいしさを引き出すか。
キッチンに立つのも基本的にはシェフひとり。食材の仕入れから下処理、仕込み、調理、盛り付けまで自身で手掛けます。またシェフはソムリエ資格も持ち、料理はもちろん、ワインとの組み合わせまで含めて楽しめるのも魅力のひとつです。
シェフと料理について話すなかで出てきたのが、「わびさび」という日本らしい言葉でした。
店を続けるなかでブレていないのは「食材の良さ」と「火入れ」。料理を華やかに見せるために何かを足すのではなく、いかにシンプルに食材のおいしさを引き出すか。
キッチンに立つのも基本的にはシェフひとり。食材の仕入れから下処理、仕込み、調理、盛り付けまで自身で手掛けます。またシェフはソムリエ資格も持ち、料理はもちろん、ワインとの組み合わせまで含めて楽しめるのも魅力のひとつです。
今回いただいたコースは24,200円(税・サービス料込み)。完全予約制、季節や仕入れによって内容は変わります。
はじめに登場したアオリイカは、キャビアと柚子、穂紫蘇を使った華やかなアミューズ。
寿司店で味わうイカから着想を得たそうで、細かく包丁を入れたイカはねっとりと舌にまとわりつき、柑橘の香りと酸味、キャビアの旨味と塩味が重なります。冷やしすぎずに提供することで、イカ特有の質感と甘味もより鮮明に。
パンのサクッとした食感や穂紫蘇の香りなど、ひと口の中にも異なる要素があり、味覚だけではなく香りや食感まで刺激されます。
はじめに登場したアオリイカは、キャビアと柚子、穂紫蘇を使った華やかなアミューズ。
寿司店で味わうイカから着想を得たそうで、細かく包丁を入れたイカはねっとりと舌にまとわりつき、柑橘の香りと酸味、キャビアの旨味と塩味が重なります。冷やしすぎずに提供することで、イカ特有の質感と甘味もより鮮明に。
パンのサクッとした食感や穂紫蘇の香りなど、ひと口の中にも異なる要素があり、味覚だけではなく香りや食感まで刺激されます。
続いては、アジとビーツを組み合わせた一皿。アジは表面を軽く炙り、イタリアの魚醤コラトゥーラとオリーブオイルで調味。脂ののったアジに、ビーツの大地を思わせる力強い風味、酸味のニュアンスが重なります。
さらにビーツは、ピューレや薄く加工したものなど、同じ食材でも切り方や火の入れ方、加工によって味や食感は変わります。ハート形に仕立てた、かわいらしい演出も。
食材を増やして複雑にするのではなく、ひとつの素材を掘り下げる。ここにもレーヌデプレらしい料理の組み立て方が見えます。
さらにビーツは、ピューレや薄く加工したものなど、同じ食材でも切り方や火の入れ方、加工によって味や食感は変わります。ハート形に仕立てた、かわいらしい演出も。
食材を増やして複雑にするのではなく、ひとつの素材を掘り下げる。ここにもレーヌデプレらしい料理の組み立て方が見えます。
続いては、夏野菜を使った鱧の一皿。トマトをベースにオクラや枝豆、雲丹などを合わせ、食材の旨味や甘味、香りが重なり合います。そこへ花や香草のほろ苦さが加わり、味わいに奥行きが生まれます。
火入れも絶妙で、オクラや豆などは食感を残しながら、それぞれの持ち味をしっかりと感じられる仕上がり。
火入れも絶妙で、オクラや豆などは食感を残しながら、それぞれの持ち味をしっかりと感じられる仕上がり。
そこから一転、濃密な香りに包まれたトリュフのリゾット。使用するのは、南半球が冬を迎える時期に届くオーストラリア産のトリュフです。
きのこの旨味を含んだスープで米を炊き、チーズでつなぎ、仕上げにも惜しみなくトリュフを。口に運ぶと濃厚な旨味と香りが広がりますが、構成自体は驚くほどシンプル。チーズは主張するのではなく全体をつなぎ、米粒を媒介にしてトリュフそのものを食べているような一体感があります。
きのこの旨味を含んだスープで米を炊き、チーズでつなぎ、仕上げにも惜しみなくトリュフを。口に運ぶと濃厚な旨味と香りが広がりますが、構成自体は驚くほどシンプル。チーズは主張するのではなく全体をつなぎ、米粒を媒介にしてトリュフそのものを食べているような一体感があります。
そして、レーヌデプレを象徴する一皿「モネの睡蓮」。シェフがフランスでクロード・モネの「睡蓮」を目にした経験から生まれ、季節によって食材を変えながら長年親しまれてきた料理です。
今回は夏のアスパラを中心に、アワビ、雲丹、香草、オクラなど。皿にトマトのエキスが注がれると、それまで点在していた食材がひとつの風景へとつながり、まるで池に浮かぶ植物のような景色が現れます。
今回は夏のアスパラを中心に、アワビ、雲丹、香草、オクラなど。皿にトマトのエキスが注がれると、それまで点在していた食材がひとつの風景へとつながり、まるで池に浮かぶ植物のような景色が現れます。
見た目の美しさだけではありません。口にすると、酸味とはまた違う清涼感が広がり、アスパラやオクラなど野菜の味と食感、雲丹の甘味、香草のニュアンスが穏やかにつながります。
シェフが意識しているのは、エキスが注がれる前の「不完全」な状態から、ひとつの景色が完成していくこと。オクラのシャーベットが少しずつ溶けていく様子まで含めて、表現の一部です。
いわゆるSNS映えを狙った派手な演出とは対極にありながら、目の前で変化し、そして食べて完成する。レーヌデプレが大切にする、凛とした美しさを最もわかりやすく体現した料理なのかもしれません。
特に興味深かったのが「酸味」についての考え方。料理にキレを出すために酸味は必要。しかし、酸っぱいと感じるほど入れてしまえば、食材そのものが隠れてしまいます。
食べた瞬間に酸味を意識させるのではなく、「なぜか食べやすい」「後味が切れる」と感じる程度に留める。そのための一滴、二滴を見極める。
こうした繊細な酸味の使い方が、コース全体の軽やかさにもつながっています。
シェフが意識しているのは、エキスが注がれる前の「不完全」な状態から、ひとつの景色が完成していくこと。オクラのシャーベットが少しずつ溶けていく様子まで含めて、表現の一部です。
いわゆるSNS映えを狙った派手な演出とは対極にありながら、目の前で変化し、そして食べて完成する。レーヌデプレが大切にする、凛とした美しさを最もわかりやすく体現した料理なのかもしれません。
特に興味深かったのが「酸味」についての考え方。料理にキレを出すために酸味は必要。しかし、酸っぱいと感じるほど入れてしまえば、食材そのものが隠れてしまいます。
食べた瞬間に酸味を意識させるのではなく、「なぜか食べやすい」「後味が切れる」と感じる程度に留める。そのための一滴、二滴を見極める。
こうした繊細な酸味の使い方が、コース全体の軽やかさにもつながっています。
魚料理は甘鯛の鱗焼き。赤ピーマンやタコとイカのラグー、ラタトゥイユのせんべい、オリーブなど、夏らしい食材を組み合わせます。
冬の料理のような深いコクを求めるのではなく、夏野菜が持つ鮮やかさや香りを生かす構成。季節によって料理の色彩や重さまで変えていることが伝わります。
冬の料理のような深いコクを求めるのではなく、夏野菜が持つ鮮やかさや香りを生かす構成。季節によって料理の色彩や重さまで変えていることが伝わります。
メインは岡山・美作の鹿。ロースは繊細に火入れされ、鹿らしい野性味を残しながら旨味は澄んだ印象。野菜の苦味や香ばしさ、赤ワインを使ったソースが寄り添います。
特徴的なのが、鹿をロースだけで終わらせないこと。端材などをミンチにし、万願寺唐辛子に詰めて別の料理へ仕立て、ロースと同じ皿に。ひとつの食材から異なる食感や味わいを引き出します。
付け合わせだから野菜を置くのではなく、一皿の上でつながるストーリーを感じます。
特徴的なのが、鹿をロースだけで終わらせないこと。端材などをミンチにし、万願寺唐辛子に詰めて別の料理へ仕立て、ロースと同じ皿に。ひとつの食材から異なる食感や味わいを引き出します。
付け合わせだから野菜を置くのではなく、一皿の上でつながるストーリーを感じます。
最後は白桃を使ったデセール。桃はコンポートにせず、生のまま真空で圧縮。フレッシュな食感を残しながら、水分と甘味を凝縮させています。
さらに表面をキャラメリゼ。パリッと割れる香ばしい層と、みずみずしい桃の食感。その対比にジャスミンのアイスクリームの上品な香りが重なります。
最後まで軽やかな仕立てで、全体を通して印象的だったのが、脂質と酸味の使い方です。
フレンチだからとバターや生クリームを重ねるのではなく、必要な場所に必要なだけ。自然な塩味や酸味があり、香りの重ね方にも繊細さを感じます。
流行に合わせて派手な料理へ寄せるわけでもありません。食材を吟味し、触れ、火を入れ、香りや酸味をわずかに重ね、不要なものは削ぎ落とす。その研ぎ澄まされた料理に、シェフが長年積み重ねてきた経験と、今なお変化を続ける姿勢を感じました。
さらに表面をキャラメリゼ。パリッと割れる香ばしい層と、みずみずしい桃の食感。その対比にジャスミンのアイスクリームの上品な香りが重なります。
最後まで軽やかな仕立てで、全体を通して印象的だったのが、脂質と酸味の使い方です。
フレンチだからとバターや生クリームを重ねるのではなく、必要な場所に必要なだけ。自然な塩味や酸味があり、香りの重ね方にも繊細さを感じます。
流行に合わせて派手な料理へ寄せるわけでもありません。食材を吟味し、触れ、火を入れ、香りや酸味をわずかに重ね、不要なものは削ぎ落とす。その研ぎ澄まされた料理に、シェフが長年積み重ねてきた経験と、今なお変化を続ける姿勢を感じました。
店内には、これまで店を訪れた料理人たちのサインも。
一般のお客さんに喜んでもらうことはもちろんですが、同じ料理の世界で腕を磨く料理人が足を運び、その料理に触れることも、シェフにとってまた違った喜びなのではないでしょうか。
フランス料理を土台にしながら、日本的な美意識も自然に溶け込む現在の「レーヌデプレ」。京都のフランス料理を語るうえで外せない一軒です。ぜひ特別な一日に。
一般のお客さんに喜んでもらうことはもちろんですが、同じ料理の世界で腕を磨く料理人が足を運び、その料理に触れることも、シェフにとってまた違った喜びなのではないでしょうか。
フランス料理を土台にしながら、日本的な美意識も自然に溶け込む現在の「レーヌデプレ」。京都のフランス料理を語るうえで外せない一軒です。ぜひ特別な一日に。
店舗情報
店名:レーヌ デ プレ(Reine des pres)
住所:京都市上京区中町通丸太町下ル駒之町537-1
電話番号:075-223-2337
営業時間:11:30~12:00(L.O)/ 18:00~19:00(L.O)
定休日:水曜日、第2第、3木曜日(変動あり)
備考:完全予約制
https://www.instagram.com/reinedespres_kyoto/
住所:京都市上京区中町通丸太町下ル駒之町537-1
電話番号:075-223-2337
営業時間:11:30~12:00(L.O)/ 18:00~19:00(L.O)
定休日:水曜日、第2第、3木曜日(変動あり)
備考:完全予約制
https://www.instagram.com/reinedespres_kyoto/
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Kyotopi 編集部
