2021年10月29日 更新

【京都老舗】カオスな店構えが名物☆創業320年の和漢薬店が閉店「平井常榮堂薬房」

汁物大好きな三杯目 J Soup Brothersです!FU~FU~☆彡今回は左京区川端二条下がった場所にある、創業320年を誇る和漢薬老舗が名物店舗を閉め、新たな後継者に歴史をつなぐ。

江戸時代の佇まい残す和漢薬の老舗の店舗見納め

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左京区、川端二条下がった鴨川沿いにあるかなり古い佇まいのお店。ここを通りかかったことがある人なら、そのただならぬオーラに誰もが足を止めて店内をうかがってしまう和漢薬店『平井常榮堂薬房』があります。

私自身いつも店の前を通りかかると中の様子を覗いてみては、なかなか入る勇気なく素通りしていました。ライターを始めてからは、もともと生薬や薬草に興味があったので、いつかお店を紹介したい、とずっと思っていました。実際、他の和漢薬店は紹介したことがあり、今度こそこちらを!と思っていた矢先の悲報。地元新聞により、10月29日をもって創業320年の歴史を持つ店舗を畳まれるとの一報。
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で、その営業最終日にようやく初訪問することに。まあ、時すでに遅しでもあるんですが、お店の様子を記録として残しておきたいな、と。
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お店の前に貼られたPOPから、いつも何に効くの?という字面の和漢薬情報を見て、ネットで調べて関心したりすることもしばしばでした。自然界にある天然のものを摂取することで身体の不調を治癒するとか、東洋医学の神秘スゲー!と。
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しかも、店前のショウウィンドウには、ほぼほぼ剥製にしか見えないサルが飾られ、こんなものまで生薬にされるのか??と、ちょっと魔術的。そこに皆引き寄せられたわけですが。あとでお店の方にうかがうと、『サルのお店』とか言われていたそうです。小さな子供だったらギャン泣きしてトラウマにでもなるようなショッキングウィンドウでもあり(笑)
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元禄14年(1701年)、この地に創業。店内の佇まいは当時の趣きそのままで、まるで時代劇を思わせるような雰囲気。古い棚や小さく区分けされた薬箪笥もあり、古い和漢薬店特有の雰囲気。
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看板や暖簾、お店の間取り自体にもその歴史を感じます。
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これも昔からの保存方法なのか空間の有効利用収納なのか、天井からは乾燥生薬らしき紙袋がぶら下がり、これもなんともシュールな印象でした(笑)
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他、時代劇で徳川家康が使っていたような、生薬を切り刻む道具も。
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で、以前から方々の和漢薬店で薬草の入浴剤を探していて、こちらでも取扱あるか尋ねようと思いつつ、営業最終日にうかがったわけですが、こんなにも種類豊富に充実してました。灯台下暗し。もっと早くこちらへうかがうべきでした。取り扱う薬草も一覧表になっていて、その効き目も示されています。
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今回最後にこちらの入浴剤を購入。よもぎ、杜仲葉、保温効果ある薬草のブレンド「ほっかほかの湯」を各5パック。最後ということで1パック80円と割安で販売されていました。これから寒い季節に突入するにあたり、こういった入浴剤でより一層保温効果を期待。

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そして、最後記念にこんなお屠蘇までいただきました。お屠蘇って本来こんなものだったんだな、と。ここでもお店の歴史を感じます。

ですが、ここで朗報です。
この古い店舗自体はこの日をもって閉じられるわけですが、血縁ではないですが後継者が見つかり、11月8日に左京区高野の別場所にて店名、業務を引き継いで和漢薬店を移転オープンされるとこのと。新たな9代目は薬剤師の女性の方。新店でもこれまでと同様に、お客一人一人の話を聞いて、きめ細かくその人に合った和漢薬を調合するスタイル。そして、さらに次の代にも営業をつなげていきたい、と意気込む9代目。

今回のケースは血縁にこだわらなかった8代目の柔軟さがお店の歴史をつなぐ流れに。京都には創業数百年続く、という老舗が他の都市以上に多い街ですが、それでもだんだん後継者不足や諸事情で泣く泣く廃業されるところもあります。今回の継承の流れ、未来に伝統をつなぐ何かしらのヒントにもなりそうな。また移転された店舗にも訪れてみたいと思います。

詳細情報

【閉店】
名称:平井常榮堂薬房
場所:京都市左京区孫橋町下15 川端二条
電話:075‐771‐4963

移転先

11月8日開業予定
名称:平井常榮堂薬局
場所:京都市左京区高野西開町21-5
電話:075‐741‐8167
営業時間:10~18時
定休日:木・金・祝日
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