2019年9月3日 更新

二人の中川氏による“コーヒーと器の大実験”☆「Kaikado cafe 」で対談イベント”人と自然の間”

木工作家の中川さんと珈琲焙煎家の中川ワニさんによる対談イベントが8/23河原町七条の「Kaikado cafe」で開催されました☆それぞれの道を極めた二人による「大人の大実験」を交えた大変興味深いイベントでした♪

「受け継ぐ」と「チャレンジ」

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茶筒の老舗「開化堂」がプロデュースするカフェ「kaikado cafe 」で、素敵なイベントがありました。

中川ワニ珈琲の中川ワニ氏、中川木工芸主宰の中川周士氏、二人の中川氏を迎えての対談イベント。
進行役は「開化堂」6代目当主の八木隆裕氏。

この日は、本来食品用の器には向かない素材である高野槙(こうやまき)のカップを使い、それに合うコーヒーを作って皆で味わってみようという試み。

何でわざわざ高野槙? という疑問は二人の中川氏の”静かで熱い”語りによって明らかにされていきます。
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中川木工芸 主宰 中川周士氏(写真左)、中川ワニ珈琲 中川ワニ氏(写真中央)、開化堂6代目当主 八木隆裕氏(写真右)

二人の中川氏プロフィール

【中川ワニ珈琲 中川ワニ氏】
1964年石川県生まれ、画家・焙煎人。
13歳の時にコーヒーに目覚め、94年に「中川ワニ珈琲」を立ち上げる。
ブレンドによる豆の個性の多様な引き出し方と、シティ・ローストの味わいの深さに魅了され、全てを混合焙煎(ロースト前に豆を合わせる)、シティ・ローストにて作り続けている。
焼きあがったコーヒー豆の美しさ、香り、旨味、後味の余韻が特徴。
自宅に8kg焙煎機を持ち、注文に応じて届けるいわば個人焙煎のパイオニアでもあり、全国各地に根強いファンを持つ。焙煎のかたわら各地でコーヒー教室を行なっている。
無類のジャズ好きでもある。
著書に、「とにかく、おいしい珈琲が飲みたい」(主婦と生活社)、「家でたのしむ手焙煎コーヒーの基本」(リトルモア)、「中川ワニシャズブック」(あうん堂本舗)

【中川木工芸主宰 中川周士氏】
1968年京都生まれ。京都精華大美術学部立体造形学科を卒業、父である中川清司の元で木工道に入る。
父の人間国宝認定を受け、2003年滋賀県大津市に自身の工房を開き独立、中川木工芸 比良工房を立ち上げる。
KI-OKEスツールは2016年にはビクトリア&アルバートミュージアムに、2017年にパリ装飾美術館に永久コレクションとして収蔵されており、同じく2017年、「ロエベ クラフト プライズ」でファイナリストに選ばれるなど、世界各国にファンを抱える。

”真面目”な大人のお遊びが始まります

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まず素材自体の香りの確認から。
ヒノキと高野槙を削ってその香りの違いを体験します。

ヒノキはお馴染みのツンと鮮烈な香り。防虫、抗菌効果のあるやつですね。
対して高野槙の方は、柔らかく雅なイメージの香りです。
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そしてこの2種の木屑を漬けておいた水をそれぞれ味わいます。
(ここはやはり紙コップでなく、ちゃんとグラスに注いで!)

ヒノキの方は同じ香りの成分がそのまま溶け込んでいる印象。
たしかに美味しいものではない。
ところが優しい上品な香りだった高野槙は、なんともいえないエグい苦味!(苦笑)

「沈み込む苦味」と称されていましたが、ずっと口の中に残る感じ。
口直しにいただいた通常のお水の美味しかったこと!(笑)
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漬けておいた水をいただきましたが、高野槙は特に熱を加えた場合に独特の苦味と香りを感じるそうです。
ですから器を作ったとしても温かい食材には向かない。
(kaikado cafeではチーズケーキの板皿に使われています)

こういう高野槙の特徴を知った上で、この素材を使ったカップに合うコーヒーを作ってみようというのが実験のテーマ。
試行錯誤を重ねながら、最終的に合わせてみたのはイベント当日だったそうです。(笑)

中川ワニ氏による特別のブレンドコーヒーをいただきます。
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最初に高野槙のカップに注がずに、グラスでいただいて通常の味を確認します。
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いよいよ高野槙のカップでいただきます。
注がれている時は独特の泡が出ていて、いかにも何かの成分が溶け出している感じです。

いただくと、木の香りは残るもののきつい苦味は感じない。
木の香りを感じながら普通に美味しくいただきました。
この苦味は本来のコーヒーの苦味なのか、木の成分の苦味なのか、分からない程度ですね。

でも味に敏感なコーヒー通の方だったらわかるのかな?

しかしここまで説明を受けながらやって何ですが、この日のイベントの趣旨は苦味が消えた消えないとかはあまりどうでも良かったのかも知れません(笑)
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中川ワニ氏曰く「別に高野槙のカップに合うコーヒーを作って売り出したい訳ではないんです」


今日の実験は、その道を極めた大人が真面目に取り組んでみた”遊びと実験”です。

普通の常識では器には向かないとされる、高野槙を使ったカップでコーヒーを作ってみようという発想。
苦味にも種類があって、薬のような苦味は嫌だけど山菜のような苦味だったら好まれる場合もある。
常識、通説にとらわれず、何か出来ないのか?とにかくやってみようという考え方。

その試行錯誤の中で、たとえ結果が出なくても他の何かが生まれるかも知れない。
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中川周士氏。
「工芸や芸術の世界でも常に”新しいもの”を求められる。
でも見たことのないような”新しいもの”をやり尽くしてしまったら?
限界が見えてくる」

伝統工芸という昔から変わらないように見える世界でも、時代に合わせて少しずつ変わってニーズに応えていくものもあれば、頑なに変えずに消滅してしまうものがある。
”残す”ことそのものでなく、使われること前提であれば変わるものもあるだろう。

そんな中、結果”変わらない”ものの本質、普遍的な美しさを改めて理解する、その精神こそが文化であり”受け継がれるもの”だろうと思います。

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工芸の世界では邪魔者扱いになる節の部分を手に、その美しさとアートとしての可能性を語る中川周士氏。

ちょっとイカツい印象の二人の中川氏。
イベントの終盤にはめちゃカッコよく見えてきましたよ!(笑)
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kaikado cafe の2Fではこのイベントに続いて「中川周士氏 木の標本展」が企画されています。

9月18日まで。
問合せ・予約は電話にて受付
Kaikado Café
TEL:075-353-5668
営業時間: 10:30-18:30 (木曜日、第1水曜日 定休日)

詳細ページ  https://www.facebook.com/events/1104918556345412/
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EVENT DATA

【二人の中川氏による 人と自然の間】   ※ イベントは終了しています

日時:2019年8月23日金曜日 19:00〜20:30

会場:Kaikado Café  京都市下京区河原町通七条上る住吉町352

詳細:https://www.facebook.com/events/360458391295567/permalink/367724300568976/

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