2019年6月6日 更新

伏見の人気イタリアンが四条烏丸に移転「熙怡 Kii」

伏見区中書島駅近くあった人気イタリアン「センプリチェ」が、四条烏丸へ移転。移転に伴い屋号を「熙怡 Kii」に変え、再出発なり。

伏見の人気イタリアンが四条烏丸に

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中書島にあった人気イタリアン、センプリチェ。この5月から、烏丸仏光寺西入にある路地奥の京長屋に移転されたのだ。新しい店名は「熙怡 Kii」なり。店名は「気持ちが和んで楽しくなる」という意味の中国語から来ているそうな。
この路地を進んでいくと中程にお店がある。北隣はBAR、南隣には、丸~いインスタ映え鯛焼きで人気のカフェがある。ずずずいっと、路地奥に進む。
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店内に。カウンター6席のみのミニマル空間をシェフご夫婦2人で回されているのだ。これは途中経過の写真ですな。胡蝶蘭の鉢植えと様々なお店からのお祝いのお酒が、まだ開店1か月も経っていないことを思い出させるのだ。 早速、お料理がスタートする。コースのみ¥15000(税別、サ無。リクエスト食材により可算あり)という、以前のお店を知っていると思い切ったお値段設定。
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メニューは最近流行の食材の名称のみの形、想像力を掻き立てられる系。胸ワクワク!とスタートなり。
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とはいえ、まずは飲み物から。ご覧のビールから。お酒メニュー等は特になく、好みを言って出して貰う方式。これ以外のビールは麒麟クラシックでした。
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一皿目は可愛い湯呑みほどの器で提供される冷菜。鼻を近づけると若々しい山椒の芽の香り、中には非常に大粒の天草産岩牡蛎(一口大に切ったもの)、張ってあるスープはトマト・キウイをおろして漉した透明なもので、程よい酸味と僅かな塩味。それに岩牡蠣から出たエキスが加わり、なんともはんなりした味になるのだ。更にチュルリンと食感の良い秋田産じゅんさいという、まったく和食な構成。とは言え、和の調味料はまったく使っていない、過去食べたことの無いもの。じわじわと後からくる感じの旨しです~。
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二皿目。これもキンキンには冷やしていない冷菜でえんどう豆とキャビア。軽く茹でたえんどう豆に、えんどう豆のさやから取った豆の甘さを感じるスープを掛け、ラトビア産のニコライキャビアを載せた一品。ロシア皇帝のニコライ二世が愛したキャビアなので、そう名付けられたそうなのですが、あまり塩が強くないでしょう!とご店主。 いやー、想像力は無限大!
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更に魂を鷲掴みされた三皿目。またまた非常~に大きな舞鶴産の鳥貝に、アスパラソバージュを微塵切りにして粘りを出し、優しい甘酢で合えたものを合わせ、皿の底にはニンニクの芽のジェラートという、これまたお味が想像しにくい組み合わせ。
鳥貝は三等分に切ってあるのですが、それでも一口でほうばるのが大変なほどの大粒サイズ。旨味しっかりのワタが入っていて食べごたえ充分。が、これまた海の恵み感満載なお味なのだ。上等ですなあ~!
御店主曰く、当初、粘り野菜は「わらび」が採用されていたそうですが、アスパラソバージュが粘るとは知らなかったので、びっくり。
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ここでフォカッチャのようなパン登場。先程のお皿が表面がザラザラしていて匙が使いずらいので、このパンでスープをさらってくださいね!と御店主(笑) 勿論自家製、クープ大きめですが、もっちもちで皮はパリッと。美味しいです。(結局、私はお代わりを・・)
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で、ようやくワインにスイッチ。本日の一杯目はイタリアのリースリング、。Alto Adige Riesling 2016 Taschlerhofなり。ドイツ産のような甘口でするるっとイケるタイプではなく、日本酒的なしっかりコクがありながら、リースリング独特の風味も感じるもので旨し!なのだ。
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センプリチェ時代から出されている非常~に特徴的なサラダ。新ジャガをおろしたようなピュレ。それにマンゴーとレモンの自然の甘味のみなシャーベットを振りかけてある。塩分、酸味とも極少で素材感満載なお味。その淡い味付けで、水菜にお芋さんや牛蒡、トマトに国産アーティーチョーク、アスパラソバージュなどなどを合わせ、わしわし頂く趣向。
ご店主曰く、ドレッシングは味が強すぎてなんでも同じ味になるので、嫌いなんだそうな。野菜そのものを主体にした、このお味が好きかどうかで、このお店の評価が分かれるだろうなあ、と思う最も印象的な皿。
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五皿目は春キャベツのピュレ?を包んだ、オリジナルな包みパスタで、北海道産ミョウバン不使用生ウニをタップリ!のせたもの。スープは新タマネギとバターを使ったこれまた優しいお味。センプリチェ時代から包みパスタが人気で、お客様からリクエスト多数!なので入れていますとのこと。
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六皿目は、但馬牛くり トマト ホエイという一皿。「くり」とは肩甲骨周りの部位で、仕入れは京都伏見の老舗精肉店「中勢以」のもので、もちろん熟成赤身肉なのだ。これをスチームコンベクションで八割ほど火入れし、炭火で仕上げしている。なんとも見事な焼き上がりですな。 その上に戻したドライトマト、温かなホエイ(ヨーグルトの上澄み液ですな・・)に青柚の皮を振り掛け、出来上がり。噛みしめるとホエイの効果なのか、驚くほどジューシー。いやはや文句無しです。皿が大きいので可愛らしく見えますが、1つでさいころキャラメル小、ぐらいのサイズ感。かなりしっかり量。

コースで半分を過ぎた段階で、この肉の皿が出てくるのですが、御店主曰く、メインの客層が40~70才台で、人によって食べられる量が激しく違うので、食が細い人用に重めの肉は先に持ってきて、量が足らない人には〆パスタで調整してもらうという、心遣いなのだ。激しく納得ですな。。。
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基本日本酒か白に合いそうな料理ばかりなのですが、折角なので肉に合わせる軽めの赤が欲しいのですが!とお願いして出して頂いた、イタリアは、Daniele Piccinin Muni Pinot Neroなり。軽やかで可愛らしい感じ!
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で七皿目は、和食なら椀物に相当するのですかねえ。。上の葉物はクレソン。
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アコヤ貝をたっぷり使ったダシを張った上品な白身「メヌケ」の椀物。千切りにした山芋を忍ばせて。いやー、和ダシではないとのことですが、まったくの和食でした。びっくり。。
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これは日本酒ですよねえ、と色めき立つ。で、日本酒はどのようなものが?と確認すると、出るわ出るわ、7本はスタンバイ。そういえば前回センプリチェに伺った際(もう3年前ですが)、休日はご夫婦で和食を食べ歩いていると教えて頂いたなあ、と思い出すのだ。
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シェフのお勧めは、山形のフモトヰ 純米吟醸 雄町だったのですが、私はその2は!とお願いし、出して頂いたのがこちら。富山は、苗加屋 純米吟醸 琳青。いやー、いい気分で覚えちゃいないのですが、綺麗な感じでスルスル行けたように記憶。
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八皿目は和歌山産イサキの炭火焼。が、それに合わせるのが新牛蒡を焼いたもの、それに胡桃、更に木の芽とスペアミントを合わせている変態さ。が、全く違和感無し。香ばしいイサキと一緒に牛蒡と胡桃を一緒に口に入れると想像以上の相乗効果! 焼き魚にも、まだ工夫の余地がある!という強い主張。。面白すぎですな。。。

で、〆パスタが2種出てくる構成。量は10g、20g、30gでお願いできるのですが、実は私はセンプリチェで一番好きだったのがパスタだったので、他のメンバーが10g!20g!とお願いしている中で1人30gお願いする。
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まずは、トマトのパスタ。写真は大中小並べて撮ってみました汗。自家手打ち製でキタッラのような角断面のホロホロした食感の麺に、非常~に濃厚なトマトソースが激しく、激しく絡む。アマトリチャーナやトマケチャ的な甘口ですが、超ウマ。100gでも喰えますな・・・汗
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で、次が更に凄いの一言の蛍烏賊のパスタ。ホタルイカを3日掛けて水分を抜きながら濾しつつ、刻んだものを煮詰めてソースにしているらしい。塩と蛍烏賊の旨味だけですよ!とご店主。。。 それに凄みを加えているのは香り高い青のり。超ウマ。
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見せて頂きました。熊本八代の天然青のりでトリュフの香りに通じるところがあるでしょう?とご主人。この袋入りはプロ向けのようですが、熊本の道の駅などでも買えるようです。
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甘いものも抜かりなし!なのだ。お皿の底には和三盆のホロホロクッキー、その上からヨーグルトのジェラートと柑橘のシャーベット。仕上げにライムの皮をしゅっしゅっと。非常に酸っぱくて目が覚めるお味で美味しい~。最後にこういうサッパリとした甘いものは嬉しい。
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ほっこり珈琲で〆。 添えてあるのは半乾きの自家製ドライキウイにチョコレートを挟んだもの、それにミニミニプリン、という黄金タッグマッチ!的な一口でぱっくりデザートなのだ。最後まで大充実!でした。食後、うだうだと1時間近く情報交換し、大満足ディナー終了。

既にイタリアンではないお料理で、クリエイティブ且つ挑戦的。スタート段階は「貴方は今まで何を食べてきましたか?」と、御店主からお料理で問い続けられているような感じだったのですが(滝汗)、途中からもう、貴方のなすがまま状態(滝汗)。角の立ったところが無い、体に自然に染み込むような滋味溢れるお味です。 

結果、次の日、胃もたれ等一切なし!スッキリ!な目覚めなところも意外に高年齢層向け。 お酒代も料理と比較すると大分お手頃価格で、〆て2人分で¥42000なりでした。(お酒はビール1、泡1、白2、赤1、日本酒1) ま、我々がしょっちゅう来れるお店ではありませんが、御店主が使ってみたいという大鰻や、千葉の1万/kgの有りえない鯖を食べに、多分又やってくる所存です!

基本情報

店名:熙怡 Kii 
住所:京都市下京区烏丸通仏光寺西入釘隠町242
営業時間:18:00~ 完全予約制(ランチは4人以上で予約可)
定休日:日曜・月曜
TEL:090-7098-4392 
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スイカ小太郎。 スイカ小太郎。