生産者と挑む新たな料理のかたち
京都御所にもほど近い丸太町エリアに店を構える、イタリアンレストラン「Bini(ビーニ)」。
シェフを務める中本さんは、イタリアやスイスなど海外で経験を重ね、京都で自身のレストランを2010年末にオープン。以来、ミシュランガイドやゴ・エ・ミヨへの掲載をはじめ、国内外で高い評価を受けてきたレストランです。
これまでBiniでは、繊細な料理を少量ずつ重ねていく多皿のコースを提供してきましたが、中本シェフはいま、そのスタイルを大きく変えようとしています。
一皿ごとのポーションを増やし、ひとつの食材、ひとつの料理をしっかりと味わってもらう構成へ。
そして同時に取り組んでいるのが、生産者が大切に育てた食材をできる限り無駄なく活かし、その価値をさらに高めて一皿へと昇華させること。フリーズドライの技術も新たな調理法として取り入れ、料理の可能性をさらに広げていきます。そんな新しい料理のかたちを提案するのが、新ブランド「L'acero(ラチェロ)」です。
シェフを務める中本さんは、イタリアやスイスなど海外で経験を重ね、京都で自身のレストランを2010年末にオープン。以来、ミシュランガイドやゴ・エ・ミヨへの掲載をはじめ、国内外で高い評価を受けてきたレストランです。
これまでBiniでは、繊細な料理を少量ずつ重ねていく多皿のコースを提供してきましたが、中本シェフはいま、そのスタイルを大きく変えようとしています。
一皿ごとのポーションを増やし、ひとつの食材、ひとつの料理をしっかりと味わってもらう構成へ。
そして同時に取り組んでいるのが、生産者が大切に育てた食材をできる限り無駄なく活かし、その価値をさらに高めて一皿へと昇華させること。フリーズドライの技術も新たな調理法として取り入れ、料理の可能性をさらに広げていきます。そんな新しい料理のかたちを提案するのが、新ブランド「L'acero(ラチェロ)」です。
今回、中本シェフと一緒に向かったのは、京都市街地から車を走らせ、左京区の大原 山本小農園へ。
豊かな自然と田畑が広がり、京都の料理人を支える野菜の産地としても知られる地域です。一緒に畑を歩き、土を触りながら、生産者の話に耳を傾ける中本シェフ。
豊かな自然と田畑が広がり、京都の料理人を支える野菜の産地としても知られる地域です。一緒に畑を歩き、土を触りながら、生産者の話に耳を傾ける中本シェフ。
レストランで完成した料理だけを見ていると、その手前にある生産の現場を意識する機会はそれほど多くありません。しかし当然ながら、料理は自然の中から始まっています。
農作物には旬があり、一度にたくさん収穫できる時期もあり、逆に不作の時期や、また味には問題がなくても形や大きさなどの理由で、十分に活用されない食材もあります。
生産者が時間をかけて育てた食材を、料理人としてどう受け取り、どう価値を高め、リレーを繋いでいくのか。
中本シェフの取り組みは、そんな生産者との関係性から始まっています。
生産者が時間をかけて育てた食材を、料理人としてどう受け取り、どう価値を高め、リレーを繋いでいくのか。
中本シェフの取り組みは、そんな生産者との関係性から始まっています。
大原の畑をあとにして、舞台はレストランへ。
新たなコースでは、これまでの少量多皿から一皿ずつをしっかり味わうスタイルへと変化。同時に、食材の可能性をさらに引き出すため、新しいフリーズドライの技術も積極的に取り入れています。
今回いただいた料理はコースの一部ですが、その考え方を感じられる料理が続きました。
新たなコースでは、これまでの少量多皿から一皿ずつをしっかり味わうスタイルへと変化。同時に、食材の可能性をさらに引き出すため、新しいフリーズドライの技術も積極的に取り入れています。
今回いただいた料理はコースの一部ですが、その考え方を感じられる料理が続きました。
サスティナブルの一歩先へ
まずは「フリーズドライのトウモロコシのタルト、カリアータ、諫美豚の生ハム」。
タルトのサクッとした軽快な食感から、とうもろこしの凝縮された甘味が広がり、そこへ生ハムの旨味と塩味を重ねます。
使うのは、京都・静原の堀内農園で育った規格外のトウモロコシ。フリーズドライによって軽やかなタルトに仕立て、自家製フレッシュチーズのカリアータ、長崎・土井農場の「諫美豚(かんびとん)」の生ハムを重ねます。
トウモロコシの甘味にチーズ、生ハムの旨味と塩味が重なり、ひと口の中にそれぞれの素材の個性が凝縮されています。
タルトのサクッとした軽快な食感から、とうもろこしの凝縮された甘味が広がり、そこへ生ハムの旨味と塩味を重ねます。
使うのは、京都・静原の堀内農園で育った規格外のトウモロコシ。フリーズドライによって軽やかなタルトに仕立て、自家製フレッシュチーズのカリアータ、長崎・土井農場の「諫美豚(かんびとん)」の生ハムを重ねます。
トウモロコシの甘味にチーズ、生ハムの旨味と塩味が重なり、ひと口の中にそれぞれの素材の個性が凝縮されています。
二品目は、大原の山本小農園のゼブラナスをじっくりとローストし、岡山・吉田牧場のリコッタチーズ、静原・堀内農園のバジルと潰しトマトを使ったソースを合わせます。
フリーズドライ後、リコッタチーズはフレーク状に、さらにバジルをパウダーにして添えます。
食材そのものは馴染みのある組み合わせですが、形や水分量を変えることで、味わいや香り、食感にグラデーションが生まれます。
みずみずしさを残した茄子に対して、リコッタチーズは軽やかな質感に変化し、バジルは鮮やかな緑色と香りを残しながらパウダーに。単に食材を保存するのではなく、水分量や形状を変えることで、一皿の中に味、香り、食感のコントラストを作っています。
みずみずしさを残した茄子に対して、リコッタチーズは軽やかな質感に変化し、バジルは鮮やかな緑色と香りを残しながらパウダーに。単に食材を保存するのではなく、水分量や形状を変えることで、一皿の中に味、香り、食感のコントラストを作っています。
そして名物の「自家製麺タリアテッレとチーズ、有精卵」。
千葉イマフンの微細セモリナ粉で打った自家製タリアテッレに、大原・山田農園で自家配合飼料を食べて育った鶏の有精卵、岡山・吉田牧場のパルミジャーノタイプのチーズ コダカを合わせます。
千葉イマフンの微細セモリナ粉で打った自家製タリアテッレに、大原・山田農園で自家配合飼料を食べて育った鶏の有精卵、岡山・吉田牧場のパルミジャーノタイプのチーズ コダカを合わせます。
構成は非常にシンプル。だからこそ、小麦、卵、チーズ、それぞれの風味がストレートに伝わってきます。
技術を駆使した料理が続くなかで、あえて素材の力を前面に出したパスタに。一皿ずつをしっかりと味わってもらいたいという、新しいコースの方向性もよく表れています。
技術を駆使した料理が続くなかで、あえて素材の力を前面に出したパスタに。一皿ずつをしっかりと味わってもらいたいという、新しいコースの方向性もよく表れています。
メインの肉料理は「諫美豚と玉葱のロースト、ボルロッティとファッロの味噌、菊芋のペースト」。
土井農場のプレミアム黒豚ロースを、亀岡産のハチミツとビネガー、スパイスでマリネしてロースト。大原・藤岡農園の玉ねぎを添えます。ここでもフリーズドライの技術がユニークな使われ方をしています。
イタリア産のボルロッティ豆とスペルト小麦から仕込んだ自家製味噌を一度フリーズドライにし、さらにパウダーへ。そこに、大原産の菊芋を1か月かけてゆっくり発酵・熟成させたペーストを合わせます。
フリーズドライだけではなく、発酵や熟成も組み合わせながら、素材が持つ旨味を重ねていく一皿です。
いうまでもなく、豚肉の繊細な火入れはさすがの一言。派手さはありませんが、奥行きのある一皿です。
土井農場のプレミアム黒豚ロースを、亀岡産のハチミツとビネガー、スパイスでマリネしてロースト。大原・藤岡農園の玉ねぎを添えます。ここでもフリーズドライの技術がユニークな使われ方をしています。
イタリア産のボルロッティ豆とスペルト小麦から仕込んだ自家製味噌を一度フリーズドライにし、さらにパウダーへ。そこに、大原産の菊芋を1か月かけてゆっくり発酵・熟成させたペーストを合わせます。
フリーズドライだけではなく、発酵や熟成も組み合わせながら、素材が持つ旨味を重ねていく一皿です。
いうまでもなく、豚肉の繊細な火入れはさすがの一言。派手さはありませんが、奥行きのある一皿です。
これらの料理を支える技術のひとつが最新の「フリーズドライ」です。
フリーズドライ自体は決して新しいものではなく、一般的には保存食やインスタント食品などでも広く使われてきた技術です。
しかし、中本シェフが注目するのは保存性だけではありません。
フリーズドライ自体は決して新しいものではなく、一般的には保存食やインスタント食品などでも広く使われてきた技術です。
しかし、中本シェフが注目するのは保存性だけではありません。
例えば、トウモロコシのタルトの作り方は、焼いた芯でだしをとり、とうもろこしの身を炊き、クリームをあわせてピュレにします。その後、冷凍粉砕しアイス状し、型にいれてフリーズドライの機械の中へ。
出来上がったのがこちら。実物を見て驚いたのが、その色の鮮やかさ。特にバジルや枝豆は、乾燥させた食材とは思えないほど鮮やかな緑色を残しています。
そして、水分が抜けることで味や香りの印象は凝縮され、同時に食感も大きく変化します。
そのままスナックのように使うこともあれば、砕いてフレークにしたり、さらに細かくしてパウダーにしたり。
同じ食材・技術でも、料理人の発想次第でさまざまな形へ変えることができます。
そして、水分が抜けることで味や香りの印象は凝縮され、同時に食感も大きく変化します。
そのままスナックのように使うこともあれば、砕いてフレークにしたり、さらに細かくしてパウダーにしたり。
同じ食材・技術でも、料理人の発想次第でさまざまな形へ変えることができます。
低温調理によって火入れの選択肢が広がり、ガストロバックによって食材に味や香りを含ませる新しい方法が生まれたように、フリーズドライもまた、保存という本来の用途を超えて料理表現を広げる技術になり得る。実際に畑、食材、厨房、完成した料理までを続けて見ることで、その可能性を強く感じました。
ただ保存するだけではなく、旨味や香りを凝縮し、色を残し、食感や形を変えることで、新しい美味しさへつなげていく。
中本シェフは、この料理を「gusto concentrato(グスト・コンチェントラート)」と呼びます。
サスティナブルであること自体を料理のゴールにするのではなく、料理としてさらに美味しく、その先へ。
畑で生産者と話し、厨房で食材の可能性を探り、最後は最高の一皿としてゲストへ届ける。
世界で評価されてきた中本シェフが、生産者とともに取り組む新しい料理のかたち。「L'acero」の挑戦は、まだ始まったばかりです。
ただ保存するだけではなく、旨味や香りを凝縮し、色を残し、食感や形を変えることで、新しい美味しさへつなげていく。
中本シェフは、この料理を「gusto concentrato(グスト・コンチェントラート)」と呼びます。
サスティナブルであること自体を料理のゴールにするのではなく、料理としてさらに美味しく、その先へ。
畑で生産者と話し、厨房で食材の可能性を探り、最後は最高の一皿としてゲストへ届ける。
世界で評価されてきた中本シェフが、生産者とともに取り組む新しい料理のかたち。「L'acero」の挑戦は、まだ始まったばかりです。
店舗情報
店名:L'acero(ラチェロ)
住所:京都市中京区東洞院通丸太町下る三本木町445-1(レストランBini内)
メニュー:おまかせコースのみ 13,200円(税込・サ別)
備考:予約制
https://www.instagram.com/lacero_kyoto/
住所:京都市中京区東洞院通丸太町下る三本木町445-1(レストランBini内)
メニュー:おまかせコースのみ 13,200円(税込・サ別)
備考:予約制
https://www.instagram.com/lacero_kyoto/