【海の京都】水産工場が海鮮食堂に!地魚たっぷり海鮮丼と魚介ラーメン「魚政」

海の京都、京丹後市網野町で、まさかの水産工場が食事処に。地元の老舗水産会社「魚政」が、地魚をたっぷり盛り込んだ海鮮丼と、天然白身魚のフュメ・ド・ポワソンをベースにしたラーメンを提供しています。海の街まで来たからこそ食べたい、魚屋ならではの海鮮料理をご紹介します。

目次

海の京都で食べたい海鮮ランチ

京都市内から車で2時間ほど、京丹後市網野町。日本海の恵み豊かな海の街に店を構える「魚政」にやってきました。
一見すると海産物や加工品が並ぶお土産店のようですが、じつは丹後近海を中心とした魚介を扱い、現在は間人港をメインに水産仲買人としても活動する水産会社です。
創業70年、特に松葉ガニや、「こっぺ」とも呼ばれる雌のセイコガニを得意とし、冬場には多くのカニを扱う名店としても知られています。

今回「魚政」を訪れたきっかけは、京都市中央市場で働く仲卸の番頭さんから届いたLINE。「網野に行くなら、魚政さんの新作のラーメンがめっちゃ美味しいから行ってみて」。魚のプロがそこまで言うなら、気になりますよね。

魚政の店舗に隣接し、駐車場の奥にあるのが、今回のお目当てとなる飲食スペース、魚政マリンスポット「かにべん」です。

水産工場の一部が食堂に

入ってみると、一般的な食堂とはまったく雰囲気が違います。大きな青い水槽やコンテナ、むき出しの配管が並ぶ空間に、テーブルと丸椅子。
それもそのはず、ここは冬場にはカニなどを扱う水産工場の一部。これまでも冬場には茹でたてのカニをこのスペースで提供されていましたが、空調などを整備し、満を持して食事の提供をスタートしました。
きれいに作り込まれた観光地の海鮮食堂ではなく、水産会社の現場で、その会社が扱う魚を食べる。このギャップも含めて、網野まで来たからこそ味わいたい体験です。

営業は昼のみで、メニューの柱は「海鮮丼」と「フュメ・ローストフィッシュらぁ麺」。
海鮮丼は「魚政満足海鮮丼」1,980円、「魚政スペシャル海鮮丼」2,480円、セイコガニを豪快にのせた「セイコガニ丼」3,000円など。+300円でアラ汁を付けることもできます。

※「魚政スペシャル海鮮丼」は9月から内容をバージョンアップし、3,480円に変更されています。価格はすべて税込です。

今回は「魚政スペシャル海鮮丼」をいただきました。
丼を覆うように魚介が盛られ、見るからに豪快。この日は、丹後近海で水揚げされた希少な鬼えびをはじめ、本マグロ、甘みが際立つ旬のイカ、鯛、サワラの炙りなどがずらり。さらに珍しいマグロの肝まで盛り込まれていました。

あまり知られてはいませんが、このあたりでは本マグロも水揚げされるそうです。

海沿いの観光地では海鮮丼をよく見かけますが、魚政の魅力は、単に魚介をたくさん盛ったことではありません。
その土地で魚を扱う水産会社だからこそ用意できる、地場の魚介やその日の仕入れを活かした海鮮丼。せっかく海の街まで来たのなら、地魚をふんだんに使ったこういう一杯を食べたい。そう思わせてくれる内容です。

水揚げや仕入れによって魚種が変わるのも、水産会社らしいところ。その時々の旬の味を楽しんでください。
取材時には「スペシャルは、もっと特別感のある内容にして通常の海鮮丼との差を出したい」といった話もされていました。そして実際に9月から内容をリニューアル。価格は3,480円となり、通常の海鮮丼をベースに、甘えびを希少な鬼えびへ、マグロの赤身を脂ののったトロへ格上げ。さらにうなぎや熟成穴子のほぐし焼きを加えた、より特別感のある一杯へとグレードアップされているそうで、こちらも楽しみです。

そして、もうひとつぜひ食べてほしいのが「フュメ・ローストフィッシュらぁ麺」1,500円。
名前だけ聞くと、魚屋が作った魚介ラーメンを想像しますが、食べてみると少し方向性が違います。
目指しているのは、魚屋だからこそ作れる「魚料理としてのラーメン」です。

スープのベースになるのは、丹後近海の天然白身魚から引いた、魚政流のフュメ・ド・ポワソン。煮干しや豚、鶏を使わず、天然白身魚の旨味を澄んだスープへと仕立てています。
一般的な魚介ラーメンのように、煮干しなどの強い香りを前面に押し出すのではなく、印象としてはむしろ「魚版のコンソメ」。
見た目は透明感があり、あっさりとした塩ラーメンのようにも見えます。しかし、口にすると想像以上に旨味の層が厚く、深みのある味わい。
雑味やえぐみを抑えながらも決して淡白ではなく、余韻までしっかりと魚の旨味が続きます。最後の一滴まで飲みたくなるような、澄んだ味わいです。

麺についても試作を重ね、京都の老舗製麺所「麺屋棣鄂」のものを使用。さらに麺によってスープの感じ方が変わることから、3種類から好みのものを選べるスタイルになっています。
今回は縮れ中太麺をチョイス。しっかりとしたコシがあり、縮れた麺に深みのあるスープがよく絡みます。

具材も魚屋らしく、近海のマグロを塩と胡椒で香ばしく仕上げた「ローストフィッシュ」。
いわゆるチャーシューのポジションに魚を置き換えていますが、単なる代用品ではなく、魚料理としてきちんと存在感のある仕上がりです。
そして、この粒胡椒がいいアクセント。澄んだ魚の旨味に香りと刺激を加え、スープに立体感を与えてくれます。
単純に「魚屋がラーメンも始めました」という話ではありません。水産会社が持つ魚の知識と技術を、一杯のラーメンへ落とし込んだ「魚料理」。そう考えると、このラーメンのおもしろさがより伝わると思います。
海鮮丼を食べるか、ラーメンを食べるか。なかなか悩ましいところですが、グループで訪れるなら、シェアして両方楽しむのもおすすめです。

食事を楽しんだあとは、隣接する魚政の販売店舗にも立ち寄ってみてください。
店内には干物や缶詰をはじめ、魚介の加工品などがずらり。冬になれば、魚政が得意とする松葉ガニやセイコガニも並びます。
単なる「海鮮丼の店」でも「ラーメン店」でもなく、丹後の海と向き合ってきた水産会社だからこそできるメニューです。
水産工場という場所も含めて、網野まで足を運んで食べる理由がしっかりとある一軒でした。海の京都へ出かけた際には、ぜひ立ち寄ってみてください。

店舗情報

店名:魚政マリンスポット「かにべん」
住所:京都府京丹後市網野町網野2707−17
営業時間:11:00〜15:00
定休日:火曜、水曜、木曜
https://www.instagram.com/uomasa.marinekitchen/