【京都・大原野】「うわー、取れた!」竹の器と自分で削ったお箸で流しそうめん

善峯寺へ向かう参道沿い、西京区大原野小塩町。竹林に囲まれた中村竹研の前庭に、2026年8月7日の朝、白いテントが立ちました。掲げられた横断幕には「竹で作った器とお箸で流しそうめんを食べよう! in 大原野」の文字。主催はNPO法人京都発・竹・流域環境ネット、共催は京都市です。40人を超えて集まりました。

目次

竹の器と自分で削ったお箸で流しそうめん

「新幹線、出発しまーす」

via 京都西山旅感 HOTSUU 撮影
受付の台には、切りそろえられた竹筒の器がずらり。子どもたちは小刀を借りて、自分の箸を一膳、その場で削ります。器も箸も、この土地で伐られた竹。食べる道具が、すべて目の前の竹林から生まれています。
10時をまわり、番号札を持った家族連れが竹樋の両脇に並びました。そこにいたのが、はなかさんとあやみさん。姉妹かと思って尋ねると、「お友達です」と、そろって首を振ります。
「5番、6番、7番の方どうぞ」 「新幹線、出発しまーす」
スタッフの掛け声に、二人が竹の器をぐっと構えます。

「あ、違う違う違う!」

via 京都西山旅感 HOTSUU 撮影
せーの、の合図でそうめんが流れ出した瞬間、「きゃー!」と悲鳴のような歓声。
「うわー、来た来た来た!」 「あ、違う違う違う!」
最初の一投は、二人そろって空振りでした。目の前をするりと通り過ぎていくそうめんに、顔を見合わせて大笑い。二度目、三度目と繰り返すうちに、箸先の狙いがだんだん定まってきます。
「取れた!」
あやみさんが竹の器を高く掲げると、はなかさんが「うわー、すご!」と身を乗り出しました。まわりの大人からも「うまい、うまい」と声が飛びます。ただ、流れの終わり際に一本だけ残ってくるのが、これがなかなかの難物。「一本だけって、ちょっとむずいかも」と、真剣なまなざしで樋をのぞき込む横顔が印象的でした。
つゆを注いだ竹筒に、取れたてのそうめんを浸して、ひと口。「おいしい」と言うより先に、また次の一投が流れてきます。しばらく会えていなかった時間が、この数分でするすると溶けていくようでした。

竹の内側には、抗菌の膜がある

via 京都西山旅感 HOTSUU 撮影
準備の合間、竹樋を組んでいた方に伺って、竹ネットの吉田博次理事長から膝を打った話がありました。竹の内側には天然の抗菌性の膜があり、割ってそのまま、何もしなくても清潔に使えるのだそうです。「きれいにしようと削り取ったら、あかんのです」。この日の樋は3メートルのものをつないだ、いつもより長い4メートル級。「円形にするのは技術的になかなか大変です」とのことでした。
暑い盛りに、涼をとりながら安心して食べる。流しそうめんが竹で行われてきたのは、風流だけでなく、実に理にかなった知恵だったわけです。

箸も器もみんなで手作り

via 京都西山旅感 HOTSUU 撮影
竹ネットは2009年の発足以来、荒廃した放置竹林の整備と、その後に続く管理を活動の柱にしてきました。タケノコ栽培の後継者を育てる「竹の塾」も8期目。伐り出した竹を廃棄せず、器や箸、門松へと生かしていく——この日の一日も、その延長線上にあります。
竹は、伐って、使って、はじめて守られる。竹筒を傾けて最後のつゆまで飲み干した二人の笑顔が、それを何より雄弁に語っていました。

基本情報

名称:中村竹研(なかむらちくけん)、NPO法人 京都発・竹・流域環境ネット
住所:京都市西京区大原野小塩町73-1
SNS:https://www.instagram.com/kyoto.takenet
アクセス:阪急東向日駅・JR向日町駅から阪急バス66系統「小塩」下車 徒歩約10分/63系統「灰方」下車 徒歩約15分 ・洛西バスターミナルから京都市バス「臨西2」系統「大原野小学校前」下車 徒歩約18分
※駐車場に限りがありますので、公共交通機関のご利用がおすすめです。