2019年7月21日 更新

杉本家住宅 ~『歳中覚』の風情ある暮らし 市内最大規模の京町家~【京の夏の旅】

京都の夏といえば、44年目を迎える観光キャンペーン「京の夏の旅」!なかでも毎年人気の「文化財特別公開」では通常非公開の貴重な文化財が期間限定で公開されます。今年の夏は9ヶ所の特別公開ですが、そのなかから「杉本家住宅」を、京都市観光協会職員がご紹介します!

市内最大規模の京町家

祇園祭の前祭の時に「伯牙山(はくがやま)」のお飾り場となる町家があります。
江戸時代、1743年に「奈良屋(ならや)」という屋号で呉服商を創業した杉本家。京呉服を仕入れて関東地方で販売する「他国店持京商人(たこくだなもちきょうあきんど)」として繁栄しました。
間口が約30ⅿ、奥行が約35ⅿと、京都市内にある町家のなかでも最大規模の堂々たる構えで重要文化財に指定されています。
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現在の建物は明治3年に再建されたもので、道路に面した店舗棟と、奥の居住用の棟を玄関棟でつなぐ「表屋造(おもてやづくり)」の形式。京格子に出格子、塀の下の部分を竹で囲い泥はねから守る犬矢来、中二階にある土塗りの格子状の虫籠窓など、昔ながらの京町家の佇まいを残す大店(おおだな)の貴重な建築遺構です。
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また茶室の露地庭、座敷庭、坪庭など、趣向を凝らした名勝庭園もみどころ。露地庭にはよく見ると、石彫のウサギが…。
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杉本家には、年中行事のならわしや献立、人生儀礼のしきたりを200年間代々当主が書き継いだ『歳中覚(さいちゅうおぼえ)』と呼ばれる古文書があります。それはいわば暮らしの備忘録で、旧家の季節に応じた風情ある暮らしぶりが伝えられています。(「京の夏の旅」期間中、『歳中覚(さいちゅうおぼえ)』の複製(部分)が展示されます)昔の人の暮らしぶりを垣間見ることができますね。
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「京町家の暮らしで大切にされたのは『こうとな(質素な中にも品格ある)』感覚なんです。」と杉本
家住宅の10代目当主 杉本節子さんにお聞きしました。
「京町家の暮らしには、『ハレ』と『ケ』という生活モードの区別がはっきり残されています。『ハレ』は祭やお祝いごとなどの一年のうちの限られた日で、『ケ』はそれ以外の普段の日。季節を感じ、日常と非日常のメリハリをつけながら日々をつむいでゆくことを大切にしてきました。夏の「ハレ」の行事はなんといっても祇園祭。この「ハレ」の日のために「ケ」の日の倹(つま)しさがあります。」
贅沢を慎んで始末(節約・倹約)して日々を暮らし、大きいお家ほど「こうとな」暮らしをしていた
そうです。
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建具を障子・襖から葭戸(よしど)や御簾に取り替え、蒸し暑い京都の夏を過ごしやすいように工夫した京町衆の伝統的な暮らしの文化を学んでみませんか。現代の生活にも取り入れられる工夫が見つかるかもしれませんよ。

イベント情報

<杉本家住宅特別公開の詳細>
〇住所 京都市下京区 西入矢田町116
〇期間:2019年7月20日(土)~9月30日(月)
※但し9/30を除く毎週月曜(祝・休日の場合は火曜)は休館、そのほか7/30、8/9・20・27、9/5は休館となります。
※祭典・法要や悪天候など、都合により拝観・見学できない日や時間帯が生じる場合があります。
〇時間:10:00~16:30(16:00受付終了)
〇料金:大人 800円/小学生 400円
〇アクセス:京都駅から地下鉄烏丸線「四条」駅下車、地下通路25番出口から徒歩約5分


「杉本家住宅」など「京の夏の旅」特別公開箇所では、ガイドさんによるご案内も行っています。
普段見学できない文化財を見学できるこの機会に、ぜひ京都へお越しください!

【お願い】文化財保護のため、素足でのご見学はご遠慮ください(靴下等をご着用ください)。
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公益社団法人 京都市観光協会 公益社団法人 京都市観光協会