2022年8月3日 更新

【京都発酵】結果発表☆麹の老舗『大阪屋こうじ店』と全国の有名麹を使った味噌づくり比較

発酵で健康!京都発酵食品部です☆今回は京都舞鶴の創業300年の老舗こうじ店。その自慢の生麹を使い2月に味噌づくりを実施。他、全国の有名麹も併せて仕込み、比較してみました。

老舗の生麹で仕込んだ手づくり味噌、半年熟成後

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地下鉄東山駅、三条通り沿いにある、舞鶴で創業300年の歴史を誇る生麹や味噌の老舗蔵『大阪屋こうじ店』。寛永年間、もともとの創業の地・大阪から京都舞鶴に移り、“大阪屋”と屋号につけたのが、この店名の始まり。最近では発酵食品ブームということもあり、発酵食品マニアの間では良質の生麹を提供するお店として知られ、雑誌でも紹介される有名店。
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店内には自家製味噌各種や塩麴、麹を使った調味料などが並び、さらに通年生米麹、生麦麹を提供。店の奥には発酵カフェも併設され、手軽に発酵料理や発酵スイーツがいただけます。

そして、毎冬こちらの麦生麹を使って手づくり味噌を仕込むわけですが、今シーズンは2月下旬にすでに仕込み終えました。

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その作り方、まずは材料ですがお店推奨レシピもありますが、よく言われる一般的な配合比、大豆(乾物)1:麹1:塩0.4の割合で、大豆500g、麹500g、塩200gで仕込みます。毎回この分量固定で仕込み、使用する麹ごとにその出来栄えや味を比較します。
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手順としては、まず乾燥大豆を水に一晩浸漬し、圧力鍋で蒸します。指でつぶせるほどの硬さにまで蒸しあげます。
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その一方で、ポリ袋に塩、生麹を入れて混ぜ合わせておきます。
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その中に蒸した大豆が50℃以下に冷めた状態になったことを確認し、ポリ袋に投入。塩、生麹と混ぜ合わせながら大豆の粒々を丁寧につぶしていきます。作業をすべてポリ袋内で仕上げることで、麹菌以外の雑菌がコンタミするのを防ぎます。
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貯蔵容器にポリ袋を噛ませて脱気しながら混ぜ合わせたものを詰め、その表面に防カビ対策として塩、酒かすを敷き詰め、ポリ袋を真空にして封をし、上から重石を乗せて縁の下で貯蔵。今回は表面を均一に加重する重石として、園芸用の砂利を利用しました。
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それ以外の生麹には、全国から選りすぐりの有名店の生米麹を使用。上から順に、山形県の300年の歴史誇る三吉麹屋、滋賀県野洲の180年老舗の糀屋吉右衛門、岩手県の創業200年余老舗の高善商店、大分県の創業330年老舗の糀屋本店。
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そして今回初チャレンジとして、大豆麹を使用。大豆麹は麦麹や米麹より取扱いが難しく、しかも発酵スピードが遅め。そして枯草菌(納豆菌)などのコンタミリスクが高い、ということを以前から大豆味噌の蔵元で話を聞いていました。今回失敗覚悟で、静岡県の創業150年余老舗で受注生産で大豆麹を提供する鈴木こうじ店の大豆麹を使用。通常の米麹、麦麹よりも発酵スピード遅めの大豆麹の発酵をより促すため麹配合量多め、今回は乾燥大豆0.5㎏、大豆麹1㎏、そして塩分濃度同適度にするため塩267gに調整。それ以外は米、麦麹で仕込む時と同じ手順に。

そして、おおよそ6か月の間、縁の下で発酵熟成させたものが以下になります。すべて表面は酒粕で覆われています。
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大阪屋こうじ店。
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三吉麹屋。
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糀屋吉右衛門。
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高善商店。
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糀屋本店。
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鈴木こうじ店。
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そして、それぞれサンプリングしたのがこちら。掘り出した箇所が表面に近いほど黒ずんでいますが、中はまだまだ発酵が進んでおらず、麹の粒々感や大豆感が残っています。この時点で、大阪屋こうじ店の麦麹仕込み味噌は甘み少なく発酵早めで、すでに熟成が他のものより進んでいる印象。そして、大豆麹の鈴木こうじ店は100%大豆の味噌らしい粒子感と甘みのなさ、コクの強さ。他、米麹使用の4種類はそれぞれ甘みや風味が違いますが、この時点でかなり甘み強く米麹自体のポテンシャルの高さを感じました。これからさらに熟成させ、経過を観察したいと思います。

大阪屋こうじ店 詳細情報

名称:大阪屋こうじ店 糀屋カフェ
場所:京都市東山区中之町181
電話番号:075-754-0250
営業時間:12:00~17:00
定休日:月曜日(祝日の場合は営業)
公式サイト:https://www.namakouji.com/
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